【既報関連】連邦政府が「リオ州保安部門の直接統治」(intervenção federal・IF)を2月16日に宣言してから110日余り経って、執政官として就任した、ブラジル陸軍東方軍司令官ワルテル・ブラガ大将が統括するIF執行部が、最終的なIF実行戦略計画をまとめ上げたと7日付現地紙が報じた。
80ページに及ぶ計画書には、予備役軍人を警察業務に登用する案も含まれている。
IF執行部は、車の盗難・解体に関する捜査や作戦実行時の軍警の権限強化、緊急通報システムの190番への一本化、4月に行われた軍警のパレードのように、兵舎や大隊などの軍警施設や公道を使った、市民向けのイベント増加なども勧めている。
5月29日付でブラガ大将が署名した計画書には、「犯罪発生率低下」「治安機関の行う作戦の実効性回復」「関連機関の連絡強化」「治安維持や刑務所システム関連の諸機関の強化」「刑務所統治の改善」という五つの基本方針と、66の細分化された目標が設定されている。IF執行部は10億レアルの予算が必要だとしており、連邦政府もすでにその供出を約束している。
計画の一部である銃や兵器、防弾車の寄付受付と、人員の訓練はすでに始まっており、軍警1千人の追加雇用も発表済みだ。諜報機関の行動指針変更など、事務手続きが必要な施策もある。
しかし、「犯罪発生率の低下」を目指すといっても、計画書には具体的な数値目標は定められていない。刑務所管理部門においては、刑務所の改装や近代化、カメラによる遠隔監視システムが提唱された。
機構強化のためには、予備役軍人が軍警や消防隊員として最大12カ月間勤務する、自主軍役(SIMV)が提唱されている。IF執行部は人員強化策としてのSIMV実施のため、法整備を議会に要請している。
IF執行部室長のマウロ・シノット大将は「SIMV実現のため、大統領府官房庁に助力をお願いする」と語り、IFの進捗具合についても、「リオ州の治安改善は州民たちも感じ始めているはずだ」と語った。
ただ、SIMVは昨年も導入が検討されたが、「期間限定とはいえ、公職募集のための選考過程を踏んでいない」と判断され、最高裁で棄却された過去がある。公共治安学が専門の大学教授は、IF実行戦略計画自体は賞賛しつつ、「自主的に応募してきた予備役軍人に、軍警と同じ働きを期待するのは不安が残る」としている。