イタリアの電力大手エネル社がサンパウロ大都市圏25市に電力を供給しているエレトロパウロ社を買収する事が4日に決まり、5日には、2019~21年に9億ドル(34億レアル)の投資を行う意向である事も発表したと5、6日付現地紙が報じた。
エネルが提示した買収案は1株あたり45・22レアルで、スペインのイベルドローラ・グループ傘下のネオエネルジアが示した39・53レアルや、エネルジザ社の19・38レアルを上回った。
現在までに買取が確定しているのはエレトロパウロの株式の73・4%で、買収額は55億レアルに上る。これにより、エネルはブラジル電力業界最大の配電会社となった。エネルは7月4日まで株式の買取を継続する意向なので、取得株式のパーセンテージが更に増える可能性がある。
また、米国企業のAESとブラジルの社会経済開発銀行(BNDES)が持っていたエレトロパウロの経営権は、エネル・ブラジル(カルロ・ゾルゾリ社長)に移る。
なお、エネルが買収交渉をまとめた4日、リオ連邦大学のニヴァウデ・カストロ教授は、「エネルの課題は、エレトロパウロが行っていた業務の質改善のために必要な多額の投資」と語った。
それに応ずるように発表されたのが、19~21年に9億ドルの投資を行うという計画だ。各年の投資額は3億ドルで、エレトロパウロがここ数年行ってきた投資額を約35%上回る。
この意欲的な投資計画を発表したゾルゾリ社長は、エネルによる株式購入額は市場でのエレトロパウロの価値からすれば高過ぎるとの声に対し、同社の親会社でニューヨーク株式市場にも上場しているエネル・アメリカスの株主とエレトロパウロの顧客の双方が益する、「相応の金額」との考えを明らかにした。
また、エレトロパウロという名前を継続して使うのかという問いには、「急いで結論を出す必要のある問題ではない」としたが、エネルの子会社は「エネル」の名前を冠するのが通例だ。エレトロパウロの買収経費中、最大26億ドル分は、返済期間9~18カ月のレアル建て融資で賄われると見られている。
エネルは、技術開発や再生可能エネルギーに投資し、積極的な拡大戦略を展開する電力会社だ。
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