ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》為替相場が7日に1ドル=3・9レアルを突破=中銀が大型市場介入を明言=翌8日は大幅なドル安に=「選挙リスク」が市場に影とも

《ブラジル》為替相場が7日に1ドル=3・9レアルを突破=中銀が大型市場介入を明言=翌8日は大幅なドル安に=「選挙リスク」が市場に影とも

イラン・ゴールドファジン中銀総裁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

イラン・ゴールドファジン中銀総裁(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 7日のドル/レアル為替相場は、1ドル=3・91レアルと前日比2%のドル高で引け、サンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)も2・98%ダウンの7万3851・46ポイント(P)で引けた。2016年3月1日以来のドル高水準となったことで、イラン・ゴールドファジン中銀総裁は即日会見を開き、来週末までに通貨スワップ手法で200億ドル規模の市場介入を行うと表明した上、ドル売り、レアル買いのため、外貨準備に頼る可能性も示唆した。

 通貨安、株安の理由としては、景気回復の遅れや5月のトラックストなど、国内事情に原因があるものと、米国の利上げムード、原油高、貿易戦争の恐れなど、国際事情に原因があるものが、年頭から指摘され続けてきた。だが、市場関係者たちからは、最近の動きは、国内要因の一つである「選挙リスク」の影響が最も大きいのではないかとの声が上がっている。
 昨年、テメル政権は社会保障制度改革に失敗。国家財政健全化のための最重要課題は、今年10月の選挙で選出される新政権に先送りされた。しかし、社会保障制度改革を行う意志がある中道候補が決選投票にさえも進めないのではと、市場は見ている。
 5月のトラックストでは、政府が燃料価格に補助金を出す事を認めた。それを多くの国民が支持したことが、「易きに流れやすい国民気質」を表し、痛みを伴う(が、財政再建のためには不可欠な)社会保障制度改革を実行する勢力が選挙で勝つ望みが薄いと見られる要因になっている。
 ゴールドファジン総裁は、レアルがヘッジファンドなどから売り浴びせを受けているとの見方を否定し、「今の動きは、市場がナーバスになっているところに、国際情勢が複雑に絡み合った結果に過ぎない」と語った。
 同総裁は選挙リスクに触れることは避け、「中銀は政治的に中立でなければならない」と語るにとどめた。また、「為替を動かすために金利を動かす事はない。両者の間に相関性はない」とも語り、レアル安を食い止める目的で経済基本金利の引き上げを行う可能性を打ち消した。
 また、7日はテメル大統領も「通貨危機が発生する危険はない」とTV番組のインタビューで語り、市場に呼びかけた。
 ゴールドファジン中銀総裁による「200億ドル規模の市場介入」の発表から一夜明けた8日、ドル/レアル相場はドルの急落で始まり、同日午後4時の段階では1ドル=3・707レ(前日比5・2%ドル安)で推移。また、株式市場は同じ時間で7万3445・03Pで(前日比0・55%ダウン)で推移していた。