フラメンゴの17歳の怪童、ヴィニシウス・ジュニオルが10日、7月のレアル・マドリッドへの移籍を前に、フラメンゴの本拠地、マラカナン・スタジアムでの最後の試合を行い、5万人の大観衆からの声援の中、涙で別れを惜しんだ。
昨年3月にU17の南米大会で7得点を記録して得点王になって以来、「ブラジル・サッカー界に久々に登場した大物」と目され続けてきたヴィニシウスには世界中が注目。昨年の5月には、レアル・マドリッドが破格の4500万ユーロの移籍金をフラメンゴに提示し、「世界一クラブのレアルが16歳の少年にそんな大金を」として話題を呼んだ。
ヴィニシウスは、17歳の昨年からフラメンゴのトップ・チームで出場。昨年の全国選手権では3得点をあげた。
今年に入ってからは左ウイングのレギュラーの座を確保。リオ州選手権では4得点。南米選手権のリベルタドーレス杯では2得点。そして、今年の全国選手権でも11試合の出場で4得点を記録していた。
FIFAの規約で、国外チームに移籍できるのは満18歳になってからなので、レアルとの契約は、彼が18歳の誕生日を迎える今年の7月12日から有効だ。ただ、当初の予想では、せめて今年いっぱいは「フラメンゴに残留できるだろう」との見方が強かった。
フラメンゴが全国選手権、リベルタドーレス杯、ブラジル杯の全てで好調を維持しており、レギュラーのヴィニシウスに年内いっぱいの残留を望んでいたことと、18歳の彼はレアルでもレギュラー獲得の望みは薄く、レアルもむしろ、フラメンゴで経験を積ませる事を優先させるのではとの期待があったことがその理由だ。
最近の移籍例でも、たとえばマンチェスター・シティで活躍中のガブリエル・ジェズスも、本来2016年8月に移籍できたところを、その年の12月まではパルメイラスの一員として戦い、全国選手権優勝を経験してからの移籍だった。
ヴィニシウス自身も12月までのフラメンゴ残留を望んでいたが、レアル側の決定は「7月に即移籍」だった。
これにより、W杯による中断期間前までが彼のフラメンゴの在籍期間となってしまった。「もう半年見られる」と思っていたフラメンゴのファンもこの報を残念がった。
ヴィニシウスのホーム最終戦となった、10日にマラカナン競技場で行われたパラナ・クラブ戦では、ヴィニシウスにひときわ大きな「フィーカ(残って)、ヴィニシウス」の声援が飛び交う、さながら「壮行試合」の様相となった。
ヴィニシウスも試合後、こらえきれずに大粒の涙を流す場面が見られた。彼はインタビューで「僕の人生はいつもフラメンゴに助けられてきた。(リオ州第2の都市の)サンゴンサロから僕を連れだし、素晴らしい人生を与えてくれ、僕を育ててくれた」と、下部組織の時代から長年在籍したフラメンゴに感謝の意を表した。
ヴィニシウスの国内最後での試合は13日、サンパウロのアリアンツ・パルケで行われる対パルメイラス戦だ。(10日付エスタード紙電子版より)
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