5月21日に始まり、11日間で解決したはずのトラック運転手のストが、未だに燻っている。ディーゼル油価格引下げが思うように行かず、運送費の最低料金表作りも難航しているのだ▼運送費の最低料金引き上げは運転手代表の言い分を呑んだ形で政府が譲ったもので、八方美人的な新料金表が作られた。だが、荷主である農業界などが運送費の値上げに反発して政府が後退。改訂版、再改定版まで出たが合意に至らず、運転手側が新たなスト実施をちらつかせたりしている▼他方、農業関連企業などは政府による料金表作成は憲法違反とし、裁判も起こした。また、遠方から原材料を購入するため、輸送経費に直結する料金表関連の動向を見守り、原材料調達や生産を停止している企業もある。農業生産者をはじめとする各種生産者や輸出入業者は、運送費値上がり分をどうやって吸収するかで頭を痛めているし、消費者もほぼ全ての商品価格上昇を覚悟する必要がある▼運転手側の言い分を呑めば他業種から批判が起こるし、諸経費拡大は消費者価格の値上がりやインフレを招く。経済活動の回復が遅れる中で起きたトラックストの影響は予想以上に大きく、ディーゼル油価格の抑制措置に必要な金額は、当初の試算額を大幅に上回るとの報道も流れた▼開始当初はストに好意的だった国民も、自分達の生活が脅かされ始めると不満の声を上げだした。それに気づいた政府は、これ以上評判を落とさないためにも大慌てで解決策を定めた。だが、一方に都合の良い解決策は他方から批判を浴びる。現政権が各方面の関係者と真摯に向き合って真の解決策を見出し、それを実行出来るかを見守りたい。(み)