ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁が強制連行、事情聴取に違法判断=ラヴァ・ジャットにも影響=ルーラ擁護の判事らが推進=一時逮捕増加などの問題も

《ブラジル》最高裁が強制連行、事情聴取に違法判断=ラヴァ・ジャットにも影響=ルーラ擁護の判事らが推進=一時逮捕増加などの問題も

ジウマール・メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

ジウマール・メンデス判事(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 最高裁大法廷が14日に、ラヴァ・ジャット作戦で有名となった、連邦警察による強制連行と事情聴取(コンドゥソン・コエルシチーヴァ・以下CC)に関する判事投票を終え、5―6で違法との判断が下された。15日付現地紙が報じている。

 先週から始まった投票は、労働者党(PT)とブラジル弁護士会(OAB)の訴えを受けたものだ。それによると、連邦警察などが行っているCCは、民法201条の「捜査対象となった人物には、取り調べなどが行われる場所が妥当だと思われない場合に場所を選ぶ権利が与えられる」との条文に反し、黙秘権の行使なども妨げているという。
 この件は、2016年3月にルーラ元大統領がコンゴーニャス空港に強制連行されて取調べを受けた際、一部から強い批判が出た問題でもある。
 また、ジウマール・メンデス判事は昨年12月にCCを差し止める暫定令も出した。このことから、最高裁内部でCCについて審理する流れが出来上がった。
 今回の投票は接戦となり、見解が真っ二つに割れたが、結果、CCは違法だという最高裁見解となった。
 今回報告官をつとめたのはメンデス判事だ。同判事は「汚職を撲滅したいのであれば、法に則った捜査によるものでなければならない」とした上でCCを違法とした。これにローザ・ウェベル、ジアス・トフォリ、マルコ・アウレーリオ、リカルド・レヴァンドウスキー、セウソ・デ・メロの計5判事が賛意を表明した。
 また、今回の賛成者たちは、「政治家だけでなく、社会的弱者に対してもこの見解を適用する」という考え方で一致していた。
 今回賛成票を投じた判事のうち、ローザ氏を除く5人は、4月にルーラ氏が実刑を受ける契機となった「第2審の有罪の人物に人身保護令を適用できるか」の投票の際、「できる」に票を投じた判事たちだった。
 一方、アレッシャンドレ・デ・モラエス、エジソン・ファキン、ルイス・ロベルト・バローゾ、ルイス・フクスの各判事と、カルメン・ルシア長官は反対に投じた。
 それは「警察の捜査の自由が保証されなくなる」との意見に基づいたもので、モラエス判事も「CCが認められない場合は、よほど異例なまでに法的におかしいときだけだ」と反論した。
 CCは1941年10月発効の条例で認められており、「CCを使うと一時逮捕を減らすことができる」「捜査の迅速化にもつながる」という反論も出ている。ラヴァ・ジャット作戦では、3年9カ月の間にCCが277回使われた。同作戦開始以降、CC使用回数は300%増えたという。
 他方、ブラジルでは刑務所不足が深刻だが、メンデス判事の暫定令により、1~4月に適用された一時逮捕は昨年同期より32%増えている。