《ブラジル》工業界が投資を削る?=GDP縮小や政局を反映=トラックストも大きく影響

選挙年故の先行き不透明感やトラック運転手のストによる生産停止、ドル高などにより、国内総生産(GDP)の成長予想が下方修正される中、工業界の投資計画が縮小していると19日付現地紙が報じた。
この傾向を示す例の一つは、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)が先週発表した調査報告だ。それによると、442社を対象に調査した結果、3月の時点での投資予定は、平均で17年比1・2%増となっていたが、現在の投資予定は、昨年比0・4%(5億300万レアル)減の1173億レアルとなっている。
同連盟会長代行のジョゼ・リカルド・ロイス・コエーリョ氏によると、投資計画が縮小した主な理由はGDPの成長予想が下方修正された事とトラックストだという。
しかし、ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)は、工業界が投資計画を縮小し始めたのはトラックストより前だという。FGVによると、約700社を対象に今後12カ月間の投資意欲を調べたところ、5月に得た数値は17年末と同レベルで、第1四半期の指数を7・6ポイント下回る116・1ポイントだった。同指数が100を超える時は投資意欲が高いが、100を切った場合は、当面は投資を行わないという意味になる。
この指数は14年第1四半期以降、下り坂になり、リセッション(景気後退)が始まった15年第1四半期からは100を切った。一時は80前後まで下がった指数が100を超えたのは17年第1四半期に入ってからで、17年第3四半期は前期割れが起きた。今四半期も前期割れとなるのは確実だ。FGVによれば、4、5月には既に、95%の企業が先行き不安感を抱いていた。ストの最中に調査を行っていれば、この数値は更に低くなっていたはずだ。
応用経済調査院(Ipea)は、工業界の投資は経済全体の投資傾向にも影響するとした上で、先行き不安感などで投資計画は縮小傾向にある事を認めたが、今年はそれでも昨年比4・5%程度前進すると見ている。同院によると、工業設備の近代化などへの投資が滞ると、生産性が落ちて、国際的な競合相手との距離が開くという。
工業開発のための研究が専門のラファエル・カジニン氏も、調査や開発への投資は、一旦停止するとその後の回復は不可能とした上で、「大型の投資計画は選挙が終わってからしか出てこない」と見ている。
現地紙は、選挙年故の不安感に5月のストが重なり、投資を削った企業として、600万レアルの投資計画を立てていたネジ工場の例をあげている。同工場は、ストの最中に生産活動が2週間停止した上、需要が減り、集団休暇を採用した。また、当面の投資予定額も200万レアル削り、400万レアルにしたという。