ブラジル高等裁判所(STJ)特別法廷は20日、「州知事と各州の会計監査局監査官は、いかなる場合も(地裁などに送られることなく)STJでのみ裁かれる」との法的特権(FP)の適用条件を狭め、「州知事と各州会計監査局監査官は、任期中に犯した、職責と関わりのある犯罪に対する嫌疑でのみ、STJで裁かれる」と決定したと、21日付現地紙が報じた。
5月16日にマウロ・キャンベル判事が、ある会計監査局監査官の裁判で、「被疑者が連邦直轄区議会議員時代だったときの嫌疑で、一審担当裁判所扱いが妥当では?」との意義申し立てを行ったことで、このテーマに関するSTJでの議論が始まった。20日の決定により、その裁判も一審裁行きが決まった。
さらに、この決定から10分と経たない内に、「任期外の犯罪の嫌疑である」として、ルイス・サロモンSTJ判事がパライバ州の地裁扱いとした、リカルド・コウチーニョ同州知事(社会党・PSB)を巡る裁判で、弁護側が行っていた控訴も棄却された。
現在、STJでは、捜査、刑事裁判、労働争議を含めて、州知事に関わる案件が64件、各州会計監査局監査官に関わる案件が50件扱われている。20日の決定により、STJで判決が出る直前の刑事裁判以外は、個別に検討され、いくつかは地裁などに送られることになり、STJの負担は軽減される。
以前は、「上下両院の連邦議員と閣僚は連邦最高裁(STF)でのみ裁かれ、州知事や各州の会計監査局監査官はSTJのみで裁かれる」というFPが存在した。
しかし、5月にSTF大法廷が、上下両院議員の特権を「任期中の犯罪に関する嫌疑で、職責に関わる犯罪のみ」に制限し、今月12日には、STF第1小法廷が閣僚のFPも同じ扱いとした。その制限を、STJ扱いの特権にも適用したのが今回の判決だ。
STJでしか裁かれない特権は、州知事、会計監査局監査官の他、2審以上を担当する判事などにも与えられているが、判事にも同様の適用条件変更を行うか否かは、別の審理で決定される。
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