ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》J&Fの司法取引取り消しか?=社主や元検察官の起訴受け=判断は最高裁の大法廷で

《ブラジル》J&Fの司法取引取り消しか?=社主や元検察官の起訴受け=判断は最高裁の大法廷で

ジョエズレイ氏らの司法取引無効化はテメル大統領の肩の荷を少しは軽くするか(参考映像、Cesar Itiberê/PR)

ジョエズレイ氏らの司法取引無効化はテメル大統領の肩の荷を少しは軽くするか(参考映像、Cesar Itiberê/PR)

 検察庁からのJ&F社の報奨付供述(司法取引)取り消し要請の審理を、エジソン・ファキン最高裁判事が27日に最高裁大法廷に回す事にしたと27、28日付現地紙やサイトが報じた。
 当時現職だった検察官が同社役員らの報奨付供述を違法に手伝い、報酬も受け取ったとされる案件だ。違法なやり方でされた報奨付供述であり、その司法取引自体を取り消すかどうかの有効性判断が問われている。同検察官とJ&F社役員が25日に起訴された後に、大法廷で扱うとのこの判断は下された。
 検察庁によると、当時ラヴァ・ジャット作戦特捜班の一員でもあったマルセロ・ミレル元検察官は、J&F社や同グループのJBS社が捜査対象になっていると知っていたが、現職のままJBF元社主ジョエズレイ・バチスタ氏の報奨付供述を違法に手伝ったという。ミレル氏は検察庁を辞した直後に、弁護士事務所に就職。J&F社弁護のため、外国にも赴いた。
 ジョエズレイ氏は17年9月に、ミレル氏は司法取引に関する指導や証拠作成には関与しておらず、検察官という立場を利用して同社に益した事はないと供述した。
 だが、検察庁は、ジョエズレイ氏とJBS社の法務担当理事だったフランシスコ・デ・アッシス・エ・シウヴァ氏がミレル氏に70万レアルの報酬を支払ったとして、仲介役を果たした弁護士のエステル・フレッチ氏も含む4人を贈収賄などの容疑で起訴した。
 ここで問題となるのは元検察官の助けで結ばれたという司法取引の有効性だ。検察庁は昨年、ロドリゴ・ジャノー元長官の名前で、ジョエズレイ氏とJ&F社元役員のリカルド・サウジ氏の司法取引無効化を要請。ラケル・ドッジ現長官はその後、ウエズレイ・バチスタ氏とフランシスコ・デ・アシス氏の供述無効化も求めた。
 これを受け、ファキン判事は検察庁に5日間の期限を与え、司法取引無効化要請を裏付ける証拠の提出を求めた。同判事はJ&F社にも司法取引継続を正当化する証拠提出を命じており、両者からの証拠や証人名のリストを受け取った後、同件を大法廷に回す。
 J&F社役員らの報奨付供述を補完する供述の中には、14年にサウジ氏の指示を受け、テメル大統領の旧友で贈収賄などの嫌疑で告発もされた陸軍のリマ大佐の事務所に100万レアルを届けたというものもある。
 ジョエズレイ氏がテメル大統領と交わした会話の録音内容が漏れた昨年5月以降、大統領やその補佐官、アエシオ・ネーヴェス上議(民主社会党・PSDB)などの汚職摘発も続いており、今回の司法取引無効化は、供述に基づく捜査の有効性などと関連した物議をかもす可能性がある。元汚職対策相のルイス・ナヴァロ弁護士によると、汚職防止法では、司法取引が無効化されると、供述者への減刑や免罪と共に、彼らが提供した証拠なども無効化されるという。