14年に始まった連邦警察のラヴァ・ジャット作戦(LJ)で起訴されたグレイシ・ホフマン上議(労働者党・PT)夫妻が、6月の最高裁第2小法廷での審理で免罪された事が、LJの他の裁判にも影響しそうだ。同件で、司法取引の限界が明らかになったためで、個人や企業の報奨付供述を承認するか否かの段階でも見解が分かれていると2日付現地紙が報じた。
グレイシ上議と夫で元企画、通信相のパウロ・ベルナルド氏らは、LJで告発されたが、証拠不十分で免罪となった。この事は、他の容疑者達の裁判にも大きな影響を与えると見られている。
特に問題となるのは、報奨付供述で減刑や免罪を約束された個人や企業が、十分な証拠を提出しない、または出来ない場合だ。第2小法廷では、告発された汚職が職責と関係しているかや確たる証拠提出の必要が問われた。これにより再度、司法取引の有効性が取り沙汰され始めた。
その一例は、民主社会党(PSDB)元党首のアエシオ・ネーヴェス上議への告発だ。同氏は、食肉加工業者のJBS社主のジョエズレイ・バチスタ氏が行った報奨付供述により、200万レアルの賄賂を受け取ったとして告発され、最高裁第1小法廷が4月に起訴状を受理した。
だが、グレイシ氏らが免罪となった後、汚職で告発された容疑者の弁護士らは、公職者が企業に恩恵を与えた事が立証出来るような具体的な証拠がない限り、断罪は困難と見始めた。ただ、最高裁の見解は供述者が提供した情報だけでは不十分としたもので、捜査陣が集めている物証の質や量は案件毎に異なる。
また、司法取引が成立し、報奨付供述を行った企業であっても、それが全ての不正に目をつぶる事には繋がらない。その一例はペルナンブコ州連邦検察が、14年のW杯会場のペルナンブコ・アレーナ建設を請け負ったオデブレヒト社を、水増し請求で不正な利益を得た疑いで告発しようとしている件だ。同アレーナの建設には4億7900万レアルがかかったが、会計局は3億9800万レアルで建設出来たはずという。この額は連邦警察の試算の4億1700万レアルを下回り、不正な利益はより大きかったとの見解となる。
また、同社が行い、連邦検察庁や司法当局が既に承認した報奨付供述について、サンパウロ州検察局内には、同州での不正に関する同社の供述を認める事を拒む検察官がいる。
同社の供述で浮上した同州での不正には、ジルベルト・カサビ元サンパウロ市長が08~14年に選挙の裏金で2120万レアルを受け取った、カサビ市長時代の住居・市街化局長が公共事業請負の見返りに600万レアルを受け取ったなどがある。サンパウロ市やサンパウロ州関連の事業に関する不正での司法取引は5件成立している。内4件は告発、起訴に至っているが、一部の検察官は供述内容を不服とし、せっかく捜査した結果の告発、起訴が、お蔵入りとなるのを避けるべく、更なる証拠を求めている。