ブラジル保健省は6月28日、各州、各市の保健局長会議において、ブジルでは全5570市中、少なくとも312市で急性灰白髄炎(ポリオ)が再流行する危険性を指摘したと、6月30日付現地紙が報じた。「免疫計画」のコーディネーター、カルラ・ドミンゲス氏は、「状況は極めて深刻」と語っている。
ドミンゲス氏は、「ポリオ予防ワクチン接種率50%以下の市では、いつポリオが再流行してもおかしくない」と語る。
ブラジルでポリオ発生が最後に確認されたのは1990年で、4年後には世界保健機構(WHO)が、南北米大陸からのポリオ撲滅を宣言した。
ポリオの予防接種率は95%以上が望ましい。だが、州別に見ると、北東部のバイーア州では、ポリオ予防接種率50%未満の市が、全417市中63市(15・1%)もある。「ポリオ予防接種率50%未満の市」の比率が次に高いのはマラニョン州で、217市中31市(14・3%)が同じ状況だ。
ポリオ予防接種率50%未満の市が一つもない州は、ロンドニア州、エスピリト・サント州、連邦直轄区だけだった。
麻疹、風疹、はしか、おたふく風邪、ジフテリア、破傷風、百日咳、髄膜炎などの予防接種率も下がっており、ドミンゲス氏は「ブラジルの状況は、1980年代に戻ってしまったかのようだ」と現状を嘆いている。
保健省は、8月6~24日までの期間で、ブラジル全国規模でのポリオの予防接種キャンペーンを行う予定だ。
予防接種キャンペーンの予定は6月に保健省が発表。同省は、ベネズエラで発症例が確認されたので予防接種はぜひ受けさせるよう強調した。