アマチュア歌手の中島幸夫さん(39、3世)が、5月26日に東京で開催された「第34回日本アマチュア歌謡祭グランプリ大会」にブラジル代表として出場し、グランプリを受章した。各地の予選を通過した130人が競い合うなか、演歌『望郷新相馬』を正確に歌い上げた中島さんが栄光をつかんだ。
大会は東京・芝メルパルクホールで開催され、日本、アメリカ、台湾、ブラジルで行われた総勢6000人の予選を勝ち抜いたアマチュア歌手130人が出場した。審査員は音楽プロデューサーやレコード会社の役員らが務めた。著名な音楽プロデューサー、小西良太郎氏は中島さんの歌声を「正確ですばらしい歌唱だった」と評価した。
普段は獣医として働いている中島さんは、子供の時から父親の影響で歌謡の練習を続けている。しかし、片言の日本語を話す中島さんにとって、演歌を流暢に歌うのは大きな難関だ。大会までの半年間、指導者の北川朗久さんと二人三脚で半年間、ほぼ毎日練習した。
中島さんは今回が大会初出場。「腰が痛くて本調子ではなかった。他の出場者もとても上手で、自分でも優勝したことが信じられない」と話す。
賞品として優勝杯とメダル、日本ハワイ間の往復航空券を贈呈された。「とても嬉しい。優勝はアマチュア歌手としての長年の夢だったから」。
同大会の歴代上位入賞者の中にはプロになった人もいる。健康上の理由でプロの道をあきらめていた中島さんに、優勝した今の心境を尋ねると、「チャンスがあればプロになりたい。今後も頑張りたい」と意気込んだ。
同大会には過去に7人のブラジル代表がグランプリを受章している。今回はブラジル代表として中島さんのほかに武久了守(よしもり)さんが出場したが、上位入賞はならなかった。