【既報関連】連邦警察は5日、労組登録手続きにおける不正を暴く一斉捜査、〃偽登録(RE)作戦〃第3弾を発動。現職の日系大臣、ヨムラ・エウトン労相にも嫌疑がかかり、最高裁のエジソン・ファキン判事が同相の職務停止命令を出した後、同相が辞表を提出、テメル大統領もそれを受理したと5、6日付現地各紙・サイトが報じた。
5日にはヨムラ氏が事情聴取を受けたほか、労相執務室長のジュリオ・ベルナルド氏や労省リオ州出張所所長アドリアーノ・リマ氏、ネルソン・マルケゼッリ下議(ブラジル労働党・PTB)の補佐官のジョナス・リマ氏らが一時逮捕された。
ブラジリアの連警本部で取り調べを受けたヨムラ氏は黙秘し、自身のスマートフォンのブロック解除も拒否した。取調べ後、ヨムラ氏が辞表を提出すると、テメル大統領も、「これまでの貢献に感謝する」との声明と共にそれを受け入れた。
ヨムラ氏は、正式就任となった4月10日から丸3カ月も経たずに退任となった。空席となった労相の職務は、エリゼウ・パジーリャ官房長官が暫定的に兼務する。
PTBは一昨年発足したテメル政権で労相のポストを確保し、連帯(SD)と共に労働省内の役職を割り振っていた。
ヨムラ氏の前任はロナウド・ノゲイラ氏(PTB)で、同氏が昨年末に辞職した後は、PTB党首のロベルト・ジェフェルソン氏の意向で、同氏の娘クリスチアーネ・ブラジル下議(PTB)が指名されたが、同氏の抱える労働争議や奇抜な言動から指名取消となり、就任が見送られた。
そうした経緯で労相を代行後、正式に労相に就任したのがヨムラ氏だ。同氏は政治経験こそないが、PTBの息がかかり、ジェフェルソン党首の後援を受けていた。
労省ナンバー2で、本来ならヨムラ氏の後任となるはずだったが、5月30日のRE作戦第1弾で既に逮捕されていたレオナルド・アランテス氏も、PTB下院リーダーのジョヴァイル・アランテス下議の甥だ。
ジェフェルソンPTB党首は、ヨムラ氏の辞職を受け、「PTBは、労相ポストをテメル政権に返上する」とツイートした。官房長官職と兼任とはいえ、パジーリャ氏が臨時で労相の座に就いた事は、政府が「労相=PTB」の図式と決別した事を意味する。
連警は、カルロス・マルン連邦政府総務室長にも「労組不正登録を行っていた疑いのあるグループの一員、または労働省内の人物と繋がりがあったことをうかがわせる確固たる証拠がある」として、家宅捜索願を出していたが、STFのファキン判事はこの家宅捜索願を拒否。ラケル・ドッジ連邦検察庁長官も連警には賛同しなかった。
マルン総務室長は連警の家宅捜索要請に苛立ち、「吐き気をもよおすような不快な陰謀」と発言。捜査当局の職権濫用を防ぐ法案の早期承認を議会に求めた。