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《ブラジル》ルーラ氏による捜査妨害裁判結審=証拠不十分で全員が免罪に

逮捕直前にABC地区の金属労組前で開催されたミサでのルーラ元大統領(Paulo Pinto、07/04/18)

逮捕直前にABC地区の金属労組前で開催されたミサでのルーラ元大統領(Paulo Pinto、07/04/18)

 ブラジリア連邦地裁第10小法廷のリカルド・レイテ判事が12日、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査妨害の嫌疑での審理で、ルーラ元大統領らを免罪とする判決を下したと同日付現地紙サイトが報じた。
 同件は2016年に、デウシジオ・ド・アマラル上議(当時)が、ペトロブラス社元理事で報奨付供述に応じる意向を示していたネストル・セルヴェロ氏の口を封じようとしたとされる嫌疑で、捜査妨害を命じたのは元大統領とされていた。
 検察が証拠としていたのは、セルヴェロ氏の息子のベルナルド氏が録音したアマラル氏との会話記録などだ。アマラル氏は、セルヴェロ氏の家族に毎月5万レアルの支援を行い、セルヴェロ氏の弁護士にも400万レアルの報酬を払う代わり、当時の政権の中枢にいたルーラ氏らの事は何も語らないよう依頼した。
 アマラル氏が名前を伏せるよう依頼したりして起訴されたのは、ルーラ氏とその友人の牧畜企業家ジョゼ・カルロス・ブンライ氏、その息子のマウリシオ・ブンライ氏、銀行家のアンドレ・エステヴェス氏、弁護士のエジソン・リベイロ氏、アマラル氏、アマラル氏の秘書室長のジオゴ・フェレイラ氏だ。
 同件はルーラ氏が関与したとされる起訴第1号だったが、昨年9月には検察側が、ルーラ氏とエステヴェス氏に関しては十分な証拠がないので免罪とするよう申し入れていた。
 12日の判決は、検察の言い分通り、同件の起訴が録音と報奨付供述のみに基づき、証拠が不十分である事を理由に下され、ルーラ氏を含む全被告が免罪となった。ルーラ氏にとっては、LJ関連裁判初の免罪判決だ。

人身保護令や選挙活動関連では敗訴

 一方、11日は元大統領にとって敗訴続きの1日となった。
 一つ目は、高等裁のラウリタ・ヴァス長官が、「18年7月9日付大衆運動」の名の下で高等裁に出されたルーラ氏への人身保護令要請143件を全て棄却したものだ。同長官は、これらの要請書は皆、同一基準で作成されているとし、「裁判所は政治的な取引や、政党色に染まったイデオロギー的な請求の場ではない」と断言した。
 また、二つ目はクリチバ連邦地裁第12小法廷のカロリーナ・レボス判事による判決で、刑法に定められた出所事由には当てはまらないとの理由で、大統領候補としての討論会や党大会への出席や、ビデオ録画、メディアのインタビューへの応答が禁じられた。