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サンパウロ市寒波=福祉収容施設からあぶれる路上生活者たち=「受け入れ枠は充分」とサンパウロ市

 サンパウロ市中央部(セントロ)アニャンガバウー地区にある、収容人員数116人の路上生活者収容施設「一時受け入れセンター(CTA)」前の歩道に、うつろな目でたたずむ路上生活者。16歳の頃から路上生活をしているヴィトル・パシェコさん(22)は、「シェルター(避難所)に行っても空きがほとんどないんだ」と語る。今年一番の寒さがサンパウロ市を襲う中、ブルーノ・コーヴァスサンパウロ市政(民主社会党・PSDB)が、シェルターを充分に提供できていない現状を12日付現地紙が報じた。
 パシェコさんは、入所を断られた夜、運よく入所できた人たちが窓から毛布を投げ与えてくれたため、寒さに耐える事が出来たというエピソードも披露した。
 サンパウロ市には16カ所のCTAがある。そこに入るためには、サンパウロ市社会扶助局(SAS)の職員が路上生活者の多い地域で配布している書類の提示が求められる。
 この政策はジョアン・ドリア前市長時代に始まり、コーヴァス市長となってからも引き継がれている。フィリペ・サバラSAS局長は、このシステムは人がCTAに殺到するのを防ぐために必要だとしつつ、同システムのせいで、入りたくても入れない事態が起こっていることは否定した。同局長は、「夜の10時に入所待ちの列にいる人は受け入れているし、別のCTAを紹介してもいる」と語った。
 今年1月から5月までの間、サンパウロ市では一カ月平均の延べ人数で2万5千人から3万人をCTAに受け入れた。この結果は、2017年の同じ時期に比べ、各収容所の収容率が40%アップした事を表している。
 17年にジョアン・ドリア前サンパウロ市長の任期が始まった頃、市内の路上生活者は、15年の1万5900人から57%増の2万5千人と見積もられていた。
 この数字を基準にすると、サンパウロ市が用意している収容施設の総収容人員数は1万2550人で、路上生活者総数に対する収容所受け入れ比率はほぼ50%だが、サンパウロ市は、「正式なデータでは、路上生活者総数の90%分の受け入れ枠を用意できている」としている。