テメル政権は既に求心力を失っており、10月に統一選挙を控えている連邦議員たちが、自分の支持団体など、特定の業界の利益になり、国家財政には損失を与えるような法案(パウタ・ボンバ)を着々と成立させている。歳出増、歳入減に繋がるこれらの政策による国家財政への影響は、今後数年間の合計で1千億レアルに達する可能性があると、12、13日付現地各紙・サイトが報じた。
パウタ・ボンバの一例は、今月10日に上院が無効にした、アマゾナス州マナウス市経済特区内の飲料メーカーへの減税措置を終了させるための大統領令だ。国家財政に年17億8千万レアル分の影響を及ぼす可能性のある減税措置の是非は、今後下院で審議される。
連邦政府は、下院でもマナウス経済特区内の飲料メーカーへの減税継続となった場合は、最高裁に訴える意向を表明している。
既に上下両院を通過した法案には、農業界の社会保障債務の取り扱い変更に関するものもある。これは今年の会計を直撃し、その規模は130億レアルだ。
また、「テメル大統領が拒否権を行使した、中小企業への減税措置」を無効にする事(つまり減税の継続)も既に両院を通過した。国家財政には向こう10年間で78億レアルの損失となる。
こうした法案が次々と可決されていく中、政府はせめて、来年の収支バランスが目標内に収まるように、国家の収入を増やし、支出を減らすような措置を実現させようとしている。だが、政府の経済スタッフが、国家財政の健全化の見地から政策を立案しても、議会に送ると骨抜きにされてしまうというのが現状だ。
エドゥアルド・グァルジア財相は既に、エウニシオ・オリベイラ、ロドリゴ・マイアの上下両院議長に対し、いたずらに国家予算を圧迫するような法案の採決を遅らせるように要請している。
グァルジア財相は12日にブラジル紙の取材に答え、議員たちが行っている、特定の団体や業界の利益になるようなばら撒きは「不適切だし、時期が悪すぎる」と語り、政府は損失分を穴埋めできるような政策を要求していくと述べた。
来年度予算案の提出期限を8月に控える政府経済スタッフは、4月に提出した連邦予算基本法(LDO)で、「来年の国家公務員らの給与調整を行わないこと」と、「高所得者層限定の投資ファンドへの課税」を提案している。
経済スタッフは、国家公務員と軍人の給与調整を行わなければ歳出が110億レアル削減され、投資ファンドへの課税では歳入が60億レアル増えると踏んでいるが、11日の議会は公務員らの圧力に屈し、公務員の給与調整を行わないとのLDOの項目を否決した。公務員給の調整が実施されれば、175億レアルの支出増となる可能性がある。19年度予算は既に、6年連続の赤字予算となる見込みだ。