2003年のルーラ労働者党(PT)政権発足から今年6月までの15年半で、中国からブラジルに投入された総額540億ドルの投資の内、新規プロジェクトへの投資は11%に過ぎなかった事がわかった。17日付ブラジル現地紙が報じている。
540億ドルの内、新規プロジェクトへの投資は60億ドル(11・1%)のみで、残る480億ドル(88・9%)は、〃ブラウンフィールド(BF)投資〃と呼ばれる手法だった。これは、現地の企業を買収する事で、既存の設備や従業員、顧客を利用する投資方式だ。
一方、現地に法人を新しく設立して、設備や従業員の確保、顧客開拓を一から行う投資手法は〃グリーンフィールド(GF)投資〃と呼ばれる。GF投資が行われると、ブラジル国内での生産、供給網を通じての物資購入、ブラジル人雇用、税金支払いなどが行われるため、投資による恩恵は広範囲にいきわたる。だが、BF投資はこの限りではない。
今回の調査で初めて、ブラジル政府は「中国投資」の現状を詳細に分析し、どの分野を中心に中国マネーが入っているのか、また、BF方式なのか、GF方式なのかといったデータを手にした。
BFが全体のほぼ9割という事実は驚きを持って受け止められた。これまでは、中国投資実現のニュースが流れる都度、中国とブラジルの両国から、「某所にこうした設備を新たに建設して云々」とか「ブラジル人雇用市場にも好影響」といった約束が結ばれてきた、また、そうしたイメージが先行していたからだ。
ブラジルを襲った不況により、ブラジル企業が外国資本にとって割安になったため、中国資本の流れも買収へと傾いた。過去15年半の間に買収された既存プロジェクトは72件に上り、新規プロジェクトへの資本参加は29件に過ぎなかった。
これらの数字は、企画省が2カ月おきに発表している中国投資に関する報告書に記載されているデータをまとめたものだ。企画省の調べによると、投資総額の実に84%が、エネルギー部門(47%)、石油、天然ガス部門(29%)、鉱物採掘部門(8%)に集中している。
中国の存在感は2009年以降、急速に高まっている。企画省のジョルジ・アルバシェ国際部長も、「中国はその豊富な資金により、ブラジルにとって最大の投資パートナーになった」と語る。
在ブラジル中国大使館の高官は、「現時点では確かに、BF方式での投資額の方がGFより大きい。だが、いま少し辛抱してほしい。BF増加に引っ張られてGFも成長しているのが実情だから」と語っている。