ブラジル貯蓄不動産信用機関協会(Abecip)によると、各金融機関では、今年から来年にかけて、一般消費者が住宅を購入する資金を融資するための資金が1千億レアル以上、借り手がつかずに余りそうだと18日付現地紙が報じた。
昨年末から今年の初めまでは、「16年で大型不況に一区切りが着き、17年で回復基調に乗り始めたため、18年のブラジル経済は再び成長する」という見方が一般的で、経済指標にもそれが見え始めていたが、今年第1四半期の後半からは早くもその流れにかげりが見え始め、5月のトラックストで悲観論がさらに高まった。そんな中、消費者の中で、長期ローンを組んで住宅を購入する意欲が薄れていることが、「融資資金が1000億レアルも余る」という、稀に見る事態に繋がった。
〃金余り〃は、不活発なブラジル経済と、その結果としての不活発な不動産業界の実情を反映したものだ。それと同時に、各銀行が不動産融資を行う際、主要な資金源となるポウパンサ(貯蓄預金)の預かり総額は、今年上半期に過去4年間で最大を記録した。
Abecipのジルベルト・ドゥアルテ会長は、「今年から来年にかけて2390億レアル分の融資枠があるが、来年までに借り手がつきそうな額は楽観的に見ても1250億レアルで、1140億レアルは余る計算だ」と語る。
銀行などが不動産購入資金を融資する際の資金源として、ポウパンサの次に来るものは、勤続期間保障基金(FGTS)だ。14年~16年に大型不況が起こる前(2000年一桁年代終盤から2010年代前半にかけて)の好況期には、一般消費者による融資申し込みが引きも切らず、不動産業界や金融業界は、ポウパンサやFGTSに代わる融資資金源を探す必要さえあった。
だが、〃金余り〃が起きていることは、家屋を購入する消費者に直接的な利益をもたらすことは意味しない。
16年後半から今年3月までに中銀が行った大幅利下げ政策に伴い、各銀行も住宅融資の金利を下げてきた。だが、ドゥアルテ会長は、「融資の回収には30年かかる。経済見通しが決してよくない中、貸す側がこれ以上金利を下げることはない」と語る。
サンパウロ州商用・住宅不動産売買・賃貸・管理業者組合(Secovi)によると、今年5月のサンパウロ市での住宅販売件数、新築住宅の発売件数は共に、今年4月を上回ったが、昨年5月は下回った。