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W杯で光ったクロアチアの大統領のモラル

 ロシアW杯で注目を集めた人物の一人に、準優勝したクロアチアのコリンダ・グラバル=キタロヴィッチ大統領(50)がいる▼同国初の女性大統領で子供が2人おり、大のサッカーファンだ。W杯のチケットもポケットマネーで購入。大会中は休暇をとり、自費購入のエコノミークラスのチケットで渡航した。観戦時は自国代表チームのユニフォームを着、一般席で応援していたが、準々決勝の対ロシア戦は、気づいたロシア側高官に招かれ、途中から貴賓席で観戦した。勝利が決まると、メドヴェージェフ露首相の隣で小躍りしてからロッカールームへ。選手達と喜びを分かち合って、写真も撮った▼準決勝の対英国戦は北大西洋条約機構(NATO)の会議のため、副大統領に観戦させたが、決勝戦は自ら観戦。表彰式にもユニフォーム姿で参加し、母親のような抱擁で選手らを労い、祝福する姿が話題となった▼親近感を感じさせる人柄とモラルの高さはブラジルの国内メディアも誉めそやしたが、それもそのはず。W杯終了後、ブラジルの連邦議員らが、外国にいながら、国内移動用に小型機をチャーターした費用を議員経費として請求したとか、身辺警護費として請求した金は庭師などに払われていたという、モラルの低さを裏付ける報道がなされたのだ。4月には、労働者党(PT)議員がクリチバ市にいるルーラ氏を訪問した経費も議員経費として請求されたと聞いて呆れたが、その記憶も覚めやらぬ内に聞こえてくる汚職などの報道に、ブラジルの政界浄化はいつ? との思いが再び頭を持ち上げる。10月の統一選では、公私混同どころか、私腹を肥やすのが当たり前になった政治家の一掃も望みたい。(み)