米国トランプ政権が採用した、メキシコとの国境から不法入国した移民とその子供を引き離すという「不寛容政策」で父親から引き離されたブラジル人の少年(7)が、近日中に帰国する見込みで、連邦政府は強制送還という形になるのを避けたがっていると19日付ブラジル国内紙サイトが報じた。
「不寛容政策」で親から引き離された子供は2千~3千人、ブラジル人子弟も49人~58人と言われている。6月20日には不法移民の家族は一緒に収容するとの大統領令が出、6月26日には米国連邦地裁が、5歳未満の子供と親は7月10日まで、それ以上の年齢の子供と親も7月26日までに再会させるよう命じた。
だが、親子再会に向けた作業は容易ではなく、米国政府は10日の現状報告で、5歳未満の子供102人中、10日までに再会が実現するのは38人のみと発表した。
ブラジル子弟のみのデータは出ていないが、ブラジル連邦政府は4日にアロイジオ・ヌーネス外相とグスターヴォ・ロッシャ人権局長官を米国に派遣。外相らは6日、米国やカナダ、メキシコに駐在しているブラジル総領事ら14人との会合も持った。
ロッシャ人権局長官は一旦帰国後、14日に再び渡米し、子供達が収容されている施設を訪問したり、親子の再会に向けた作業促進に努めたりしていた。
同長官は17日、約1カ月前に米国に不法入国で捕まり、テキサス州で身柄を拘束されている男性の息子で7歳の少年がニューヨークの施設におり、今週中に父親と再会できる見込みであると発表。同長官が訪問した子供達の大半は、帰国は臨んでいないが、この親子は二人共、ブラジル国内で待つ母親の許に戻る事を望んでいるという。
現時点では、少年が一人で帰国するか、父親と共に帰国するかは定かではないが、ブラジル政府や非政府団体などは、少年が強制送還という形で送り返されなくて済むよう、手を尽くす意向だ。これは、強制送還された子供達は、将来、自らの意思で米国に行く事を希望しても、同国に入る事が出来なくなるからだ。
ロッシャ長官は19日に帰国し、帰国希望子弟が踏むべき手続きなどについて、ブラジル弁護士会などと話し合う。人権局職員は米国に残り、ブラジル人親子の再会や、帰国希望者への支援を行うという。