「移住者とそのご子孫が、努力を積み重ねて今日の日系社会の発展を築き、支えてこられたことに、心より敬意を表します。そして、皆様が歩んでこられた長い道のりに思いを馳せるとともに、その歴史が、未来を担う世代にも大切に引き継がれていきますことを願っております」――21日(土)正午から、県連日本祭り内で行なわれたブラジル日本移民110周年式典で、眞子さまはお言葉をそう締めくくった。5千人収容の会場からは大きな拍手が沸き、強い共感が集まったことが伺われた。
午前11時から記念芸能ショー「結―次世代に繋ぐ未来への懸け橋」が壮麗な日本舞踊の群舞で開幕し、和太鼓隊、琉球国祭り太鼓、鳥取傘踊りがいずれも100人を越える人数で披露された。
続いて伝統芸能を代表する長崎の龍踊り、獅子舞、ブラジル神楽会のオロチ(大蛇)が次々に登場し、移民と共に渡伯して戦う土俗の神々の姿が演じられた。そして中平マリコさんが歌う「イッペー音頭」に合わせて健康体操一行が同心円状に元気に踊り、第1部が幕を閉じた。
式典には日本から、眞子さまをはじめ近藤茂夫首席随員、山田彰駐伯大使。さらに18県を代表する湯崎英彦広島県知事、浜田恵造香川県知事、三反園訓鹿児島県知事、福田富一栃木県知事、小川洋福岡県知事ら5知事に副知事7人、県議会議長9人、副議長3人が舞台に上った。
ブラジル側からはマルコス・ガルボン駐日大使、マルシオ・フランササンパウロ州知事、ブルーノ・コーバスサンパウロ市市長、飯星ワルテル下議、太田慶子下議、安倍順二下議、西本エリオサンパウロ州議、ペドロ・カカー州議ら日系政治家が参集。
眞子さまが入場された後、海軍軍楽隊の演奏により全伯の27州旗、日本の47都道府県旗が入場し、両国の地方自治体を象徴する陣形が舞台前に作られた。
君が代に続いてブラジル国歌が斉唱され、山田康夫県連会長は「眞子さまはもとより、18県代表、州知事にもご出席いただき、身に余る光栄」と感謝し、「西日本豪雨の哀しみが一日も早く癒され、復旧するよう募金を始めたい」と挨拶した。
呉屋春美110周年祭典委員長は「国士舘スポーツセンター改修事業を通して将来の日系社会の繁栄、しいてはブラジル社会への貢献となるよう取り組みたい」との抱負をのべた。
日系女性と結婚歴があるコーバス市長は「日系人はブラジル社会に完全に統合した。私の〃小さなモモタロウ〃(息子のあだな)もその一人だ」と紹介し、日本語で「ようこそいらっしゃいました。お姫様」と眞子さまに語りかけた。フランサ州知事も「我が州を中心に日本移民を受け入れてきた歴史を誇りに思う」と挨拶した。
最後に眞子さまがマイクの前にたち、「私にとってのブラジルは、幼い頃より、地理的には遠く離れていても親しみを感じる国でございました。それは、これまで、ブラジルを訪れた方々から、その思い出を幾度となく伺ってきたことによるものであると思います。そして今回、3年前に私の両親も訪問したここサンパウロを訪れることができましたことは、大きな喜びでございます」と語られ、皇室内でブラジル訪問が話題になっていることが伺われる挨拶をされた。
眞子さまは芸能ショー第2部の冒頭、阿波踊りおよび琉球国祭り太鼓の群舞をご覧になってから退席され、ギネス会場へ向われた。
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110周年式典会場は5千人限定の招待状がなくては入れず、白石ニイナさん(76、2世)は「招待状を入手する前に配り終わっちゃった」と言う。ただ、日本祭り会場内にスクリーンが設置してあったので、画面を通して眞子さまを見た来場者もたくさんいた。白石さんもそのうちの一人で、「両親が皇族を尊敬していた。だから画面越しでも、見れたのはとても嬉しかったわ」と笑顔で話した。とはいえ、「会場内を実際に歩いてごらんにならなかったのが本当に残念」という声があちこちで。「パラナ州マリンガのイベント会場は歩いて回られた」と聞くだけに、余計に惜しむ声が…。