サンパウロ西部ピニェイロスにはアルベス・ギマランエス階段と呼ばれていた階段がある。その階段と両脇の壁に1カ月ほど前にバレリーナの絵が描かれた事で人気が高まり、同地を訪れて写真に撮り、インターネットに投稿する風潮が発生している。すでに階段も、従来の「アルベス・ギマランエス階段」ではなく、「バレリーナの階段」と呼ばれている。
5人のバレリーナの絵を描いたのは、〃コブラ〃と自称するグラフィックアーティストで、グラフィックアートを描くためにサンパウロ市内の様々な場所を歩いているうちにアルベス・ギマランエス階段に目をつけたのだという。
「階段に描いたのは初めて。とてもきれいに、魅力的に仕上がった。辺りは木々の緑も豊かだ。でも、絵を描いただけじゃない。階段周辺の修復も必要だった」と語る。修復費用は、コブラが協力関係にあるBonafontという会社の協賛で賄われた。
コブラはこの階段周辺をより快適な庭にするための計画を持っており、そのための協賛を募っているところだ。
「初めてこの階段に来た時は、暗く、汚れていて、麻薬中毒者がうろついているような状況だった。それを一変させたくて、バレリーナの絵を描く事にした」という。絵を描き始めた当初は、階段にだけ描く予定だったが、その後、近隣住民が「壁も使ってよい」と、彼に壁を提供した。
階段の中ほどには、4年前に脚を切断しなくてはならず、一度は踊る事を諦めかけたが、以来、義足で踊るメル・レイスさん(33)の絵が描かれている。レイスさんは世界で初めて、義足で踊り始めたバレリーナだ。
自分の絵がグラフィックアートとして描かれていると聞いたレイスさんは、「とても嬉しくて躍り上がったわ。私の大好きなアーティストが、こんな形で私の事を顕彰してくれたんですもの。バレエは私に喜びを与えてくれただけじゃない。私の人生そのものよ」と語る。(24日付エスタード紙より)
なお、「バレリーナの階段」の住所は、Rua Alves Gumarães,753 – Pinheiros, São Paulo – SP 05410-001 (公道のため、近隣住民になるべく迷惑にならない形での鑑賞が望ましい)