メキシコのプエルト・ヴァジャルタ市で初めて行われた、南米共同市場(メルコスル。加盟国はアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル。以下、MS)と、太平洋同盟(加盟国はチリ、コロンビア、メキシコ、ペルー。以下、AP)の加盟国首脳会議。そこにおいて、ブラジルのテメル大統領は24日、「MSとAPの接近こそが、世界で再び勃興し始めている〃孤立主義〃への自由市場主義からの返答」と語ったと24、25日付ブラジル現地紙、サイトが報じた。
テメル大統領の言葉は、両組織の連携に関する基本合意を定めた共同宣言への署名の前に発せられた。
折角の初の両組織共同会議は23、24の両日に開催されたが、MS側はアルゼンチンとパラグアイの首脳が欠席し、ブラジルも、残り任期半年足らずのテメル大統領が出席。AP側も、コロンビアのサントス大統領、メキシコのエンリケ・ピニャ・ニエト大統領ら、任期終了間近の首脳が出席と、やや盛り上がりを欠いた。
しかしながら、両組織の加盟国合計8カ国の意図は、過熱する米中貿易摩擦に代表される、世界で台頭する保護貿易主義への反対姿勢をとることで一致している。
「MSとAPの接近は、経済的、地政学的に緊張が高まっている国際情勢において重要な意味を持つ。両組織は世界に向けて、市場開放のメッセージを伝える事を目指す」とテメル大統領は語った。
同大統領はさらに、「過去にとらわれた政治、過去の失敗を繰り返すような政治は行わない。未来志向で、ブラジルが競争力を持って世界経済に参画していく道を追及していく」とした。
今回のMS、AP共同会議における最大の成果は、加盟国間の自由貿易達成のため、両組織間の連携を深めるとした共同宣言への署名だ。宣言書には、「世界貿易機関(WTO)の枠組みの中で、開放的かつ無差別、かつ公平な、多国間取引制度の保全と強化に尽力する」と明記されている上に、「デジタル化、多国間投資の簡易性向上、文化、学術交流の強化に関する行動計画」も定義された。
また、加盟国間では、特定品目の輸入量制限や関税など、自由貿易の妨げになる措置はとらないことも、合わせて確認された。
テメル大統領は会議出席後、一旦ブラジルに戻ったが、燃料補給などを終えると、25~27日に開催されるBrics首脳会議に出席するため、南アフリカのヨハネスブルグに飛び立った。
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