26日、南アフリカ共和国のヨハネスブルグで開催中の第10回BRICS会議の開会式で、テメル大統領が「第4次産業革命におけるBRICS諸国の役割」について力説した。26日付現地サイトが報じている。
今回のBRICS会議は25日の夕食会をもってはじまり、26日に開会式が行われた。夕食会に参加した首脳はテメル大統領、インドのモディ首相、中国の習近平国家主席、南アフリカのラマフォサ大統領のみだったが、開会式にはロシアのプーチン大統領も参加。それ以外にも、アルゼンチン、ジャマイカ、トルコ、ならびにアフリカから19カ国の首脳が招待を受けている。
テメル大統領は26日の開会式で、「第4次産業革命におけるBRICS諸国の役割」をテーマに演説を行った。
第4次産業革命とは、「インターネット」「ビッグデータ」「AI(人工知能)」「ロボット」を主体にして、大量の情報のデータ化や、判断や作業も高度に自動化される、現在の時代の産業についてのことだ。
大統領は「第4次産業革命はBRICSの全ての参加国にとって重要なカギを握るものであり、世界の通商や資本の流れを円滑にするためにも、我々の持つ役割は大きなものだ」と語った。
大統領はさらに、「そのためには自由主義が不可欠だ。保護主義ではテクノロジーの進化には対応できない。開かれた自由競争を行うことこそが投資や通商の促進につながる」「技術者や企業家、学生や政治家、すべての人がこの技術の変革の流れにしっかり対応すべく準備ができていなければならない」とし、第4次産業革命における理想的な社会のあり方を、自由主義の必要性と共に説いた。
今回の会議では、習近平氏も、「一国主義や保護主義の台頭が世界貿易に打撃を与えている」として、自由主義や多国間貿易の必要性を説き、米国のトランプ大統領の通商圧力への批判を行っている。
テメル氏はまた、「メルコスルとEUの間の自由貿易交渉の合意成立がいよいよ近づいた。貿易をより開放することで、経済の近代化が継続できる」と語り、太平洋同盟なども含んだ経済ブロック間の通商を自由化する必要性も説いた。
大統領は第4次産業革命に対するブラジルの対応として、「ベンチャー企業の台頭」をあげている。「ブラジルの産業界は零細・中小企業が30%を占めているが、ベンチャーにより、この1年だけで三つの企業が年商10億ドルを記録する企業に成長した」と力説した。
首脳会議は27日で終るが、テメル大統領は27日の帰国前に、アフリカ諸国など、招待国の大統領や首相たちとの会談を行う予定だ。