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政党再編するなら、どの党から?

ヴァウデマール・コスタ・ネット氏

ヴァウデマール・コスタ・ネット氏

 大統領選まで、早いものであと2ヵ月あまり。サッカーW杯も終わり、伯字紙もこの話題が中心になっている▼今回の選挙は、ラヴァ・ジャット作戦以降の政界大混乱の収束が求められる選挙と位置づけられている。だが、それが故に、まだどう転ぶかわからず国民は迷っている最中だが、それは政界も同じ。どの候補を支持し、政党連立が行なわれるかに注目が集まっている。ただ、最近の流れを見るにコラム子が理解できない風潮が存在する。それは「政党内で支持する候補が割れる」というものだ▼「いろいろな政党が、様々な候補を支持する」のであれば話はわかる。だが、ブラジルの場合、ただでさえ政党数が無駄に多いのが問題になっている状況だ。なのに、そのように細かく分かれたはずの政党の中でさえ、どの候補を支持するかで意見がまとまらないという。これでは政党がいくらあっても足りない▼「そんなことなら、この際、この選挙が終わった後に、(本当に支持したかった候補)をもとにして政党再編でもしたらどうだ」とさえも思えてしまうのだが、どうすれば良いか、考えてみた▼まず左翼系だが、逮捕中で選挙に出られるかさえもわからないルーラ元大統領にするのか、現実的なことを考えてシロ・ゴメス氏につくのかで、まだ割れている。とりわけブラジル社会党(PSB)とブラジル共産党(PC DO B)が引き裂かれんばかりの状況だ。ルーラ氏の膝元の労働者党(PT)でさえ、「ルーラ氏の熱狂的支持者」の裏で「早めに代替候補を」「左翼の勝利のためにシロ氏と連立を」と考えている人が実際にいる。ここはいっそ「ルーラ信者」「現実主義者」で左翼を再編してみてはどうだろうか▼ただ、コラム子にとって、それ以上に理解できない存在が共和党(PR)だ。なにしろ「ルーラ氏にするか、ボルソナロ氏にするか」で迷っていたのだから。一体、どこの世界に「左翼の親玉」と「軍隊出身の極右主義者」の二択で迷う政党が存在するのだろう。とりわけ、極右台頭が世界的な現象となり、その線引きがかなり明確になっている状況で意見が分かれるというのは・・▼同党は元々がキリスト教母体の保守政党だったところが、創始者的存在のジョゼ・アレンカール氏がルーラ氏を気に入り、同氏の副大統領になった経緯があり、以後も10数年、ずっとPT政権に組してきた。そうした背景を持つ政党が、いくら元が保守でPT政権が崩壊したからといって、そんなに簡単に極右に走れるものなのか▼そして、結局この党が支持したのがジェラウド・アウキミン氏だが、この結論がさらにわからない。なぜならアレンカール氏は民主社会党(PSDB)のカルドーゾ政権と強く敵対し、そこでルーラ氏とつながっていた。なのに、アレンカール氏が既に他界しているのをいいことに「他の中道右派政党が支持したから僕らも」とばかりにあっさりとそこに流れるとは▼このPRの実質的指導者はヴァウデマール・コスタ・ネット氏といって、党首だった2005年に発覚したメンサロン事件で収賄容疑で有罪となり服役も経験している人物だ。そうした人がのこのこと政界に戻り、何事もなかったように党を裏から牛耳っているのも問題だ。だが、そのような人に政党の実験を握らせ、主体性のない大統領連立で意見をまとめられない党員たちもさらに問題だ。この党こそ「本当に支持したい政治家」に従って、すぐにでも3分されるべきだと思う。(陽)