ブラジリアでは毎週火曜日午前、地主や農家である連邦議員や、農業系団体に支援されている議員らからなるバンカーダ・ルラリスタ(農牧族議員)が会合を開き、農業関連法案での投票方針を決めたり、農家に影響のある政治の動きを報告しあったりしている。
農牧族議員は下議210人、上議26人の計236人で、2015年に発足した農牧畜系議員前線(FPA)がその活動の中心を担っている。
下院定員は513人、上院は81人だから、18政党の議員からなり、連邦議員全体の39・7%を占める農牧族議員は正に巨大勢力だ。29日付エスタード紙が実情をレポートした。
同紙が農牧族とみなした議員236人中、自分はFPAだと認めたのは下議119人、上議6人に過ぎなかったが、それでも下院全体では23・1%を占めている。
法案の種類により、議員定数の過半数の賛成が必要な場合もあるが、農牧族議員がまとまれば、下院定数の過半数の257には、47票で届いてしまう。下院では42人が農牧業畑出身で、他の80人も農牧業とつながりがある。
農牧畜産業は2017年に、前年比13%増の3千億レアルの利益を計上した。ブラジルのGDPの牽引役とも言える農牧畜業を代表する議員団の集会場所となる会館は、農業技術者、弁護士、経済学者、農学者、ジャーナリストからなる、総勢16人の常勤スタッフを抱え、活動している。
「農牧畜業関連ビジネスに関することなら、必ず我々は出て行く」とFPA会長のテレーザ・クリスチーナ下議(民主党・DEM)は語る。
FAPは最近も、農業労働者支援ファンド(Funrural)の負担金の割合引き下げや、滞納税回収計画(Refis)加入企業の滞納金や罰金減額、未納額にかかる利息の全額免除などを勝ち取り、150億レアル分の利益を各団体にもたらした。「財政負担が大きい」と財務省が反対し、大統領も一旦は拒否権を行使した項目さえ、FAPは復活させたのだ。
これまで、テメル大統領への刑事捜査開始問題や労働法改正問題でも〃票のブロック〃を作り、行動してきたFAPのクリスチーナ会長は、「次の狙いは環境許認可問題」と語っている。
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