世界的規模の金融グループ、クレディ・スイス(CS)の調べで、昨年、関係者筋で予想されていた、「非正規雇用の増加が正規雇用増加の呼び水となる」との現象は起きていない事が分かったと、30日付ブラジル国内紙が報じた。
ブラジルでは1992年以降、経済危機が6回発生したが、不況後の回復において、「非正規雇用が増えた後、正規雇用がつられるように増加する」という現象は、1999年と2003年の2回しか起きていない。
不況後の雇用の動きを分析した、スイス銀行主席経済分析員のレオナルド・フォンセカ氏は、「『不況の後、正規雇用に先駆けて非正規雇用が回復する。つまり、非正規雇用の回復はその後の正規雇用回復を示す兆候』という説を実証するものはなかった。認められるのは、実体経済と正規雇用の相関関係だけだ」としている。
CSは平均2%の成長が数年続けば、失業率は7%台になるだろうと見ているが、CSが予想する今年のGDP成長率1・8%を土台にすると、失業率7%台の達成は2023年の第1四半期になる見込みだ。
現在の失業率は12・7%(総失業者数1320万人)で、失業率が7%台だったのは2014年が最後だ。
現在の景気回復は、予想されていたよりもずっと勢いが弱い。また、これまでの「不況後の景気回復」では、輸出が戻った後に設備投資が続くという傾向があったが、現在は消費が支えているため、雇用回復の速度が遅くなっているともいう。