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ブラジルの工業製品は米独より3割高=「国の構造的問題」と業界は指摘=大統領候補らに意見書渡す

ブラジルフォルクスワーゲン社工場の様子(参考画像・Comunicação Volkswagen do Brasil)

ブラジルフォルクスワーゲン社工場の様子(参考画像・Comunicação Volkswagen do Brasil)

 ブラジル機械装置工業会(Abimaq)の調査によると、ブラジル産の工業製品は、米国やドイツ(独)産製品に比べて30%割高である事が分った。7月31日付ブラジル現地紙が報じている。
 同調査では、運転資本にかかる利息、資源、物流コスト、税金、従業員の社会保障負担、賃金、煩雑な官僚的規制システムによって発生するコスト、投資とエネルギーのコストを計算した。
 米独企業は、ブラジル工業の国際市場における競争相手であるだけでなく、ブラジル国内に多くの子会社も持っている。この調査は2010年、13年にも行われており、その際のブラジル産製品と米独産製品間のコスト差は37%だった。
 ジョアン・マルシェザンAbimaq会長は、「ブラジル産製品と米独産製品のコストの差が縮まったのは、政府が官僚機構や税制を簡素化し、ブラジル産製品のコストが下がったからではなく、為替が変動し、政策金利が下降したからに過ぎない」とし、Abimaq競争力部長のマリオ・ベルナルジーニ氏も、「競争力のなさは、税制、行政、物事の進み方全般などによる、構造的なもの。我々の努力ではどうにもならないことで不利益を被っている」と語っている。
 南半球で唯一、産業用圧縮機、冷却機を製造している独系の会社、Bitzer(サンパウロ州コチア市)は、ブラジルの構造的問題によって競争力が殺がれている企業の代表例だ。2000年代初頭の同社の製品輸出率は35%で、輸出先も米国や欧州だったが、現在の輸出率は15%に落ち、輸出先も南米諸国(特にアルゼンチン)中心だ。社長のフェルナンド・ブエノ氏は、「我々はラテン・アメリカ諸国など、内輪では競争力があり、本社とも太刀打ちできるが、それ以外の地域に輸出する時は30%のコスト高が響く」と語る。
 10年前の工業生産高は、ブラジルの国内総生産(GDP)の17%を占めていたが、今日では12%だ。また、工業界の設備投資額がGDPに占める割合も、10年前の18%から15・6%に減少した。10年前、工業界は35万人の労働者を抱えていた。だが、その数値も13年の38万人をピークに下がり続けており、今年5月は29万4600人だった。
 Abimaqは状況を改善するため、22ページからなる意見書を作成し、大統領選候補者たちに配布している。
 意見書には、ブラジルの税制、監査、社会保障、通貨政策を改め、国内工業の発展と、国際競争力を高めるための施策が盛り込まれている。