労働社党(PT)が1日、4州でのブラジル社会党(PSB)支援と引き換えに、PSBから大統領選では中立を保つとの約束をとりつけた。これは、世論調査で上位につけているシロ・ゴメス氏(PDT)から連立政党を奪い、孤立させるための作戦であると2日付現地紙が報じている。
大統領選の世論調査での支持率1位は現在服役中のルーラ氏だが、彼が出馬できない場合に支持者が代替票を投じうる最大候補として注目されているのがシロ氏だ。そのことは、PT内部からでさえ「PTからシロ氏の副候補を出して連立を」という声があがっていたことからもうかがえる。
だが、左派最大政党との自負を持つPTとしてはそれでは面白くない。また、他の左派政党でもPTとルーラ氏を信奉する人は少なからずおり、ルーラ氏の出馬が微妙であるのにPTとの連立をあきらめきれない状態が続いていた。
これまで正式な連立を行っていなかったPTが最初の連立相手としてねらったのは、シロ氏が以前所属していたPSBだ。シロ氏としては、PDTの規模が大きくない中、連立政党として絶対にはずしたくなかった政党だが、これを奪った形になった。
PSBのカルロス・シケイラ党首はシロ氏支持派で、中立であることを嫌っていたが、北東部支部がPTの支援を強く望んでいたために今回の合意に至った。この合意により、PTはペルナンブッコ、アマゾナス、アマパー、パライバの4州の州知事選挙でPSBを支援することになった。
ペルナンブッコ州知事のパウロ・カマラ氏(PSB)は、レシフェ市議のマリリア・アラエス氏の知事選出馬を取りやめさせるため、大統領選でPTを支援しようと主張していた。アラエス氏はPSB創設者のミゲル・アラエス氏の孫で、同党党首として大統領選に出馬後に急逝したエドゥルド・カンポス氏のいとこにあたる。今回の合意により、PTはアラエス氏の出馬を取り消した。
逆に、ミナス・ジェライス州ではPTの現知事で再選を目指すフェルナンド・ピメンテル氏が、元ベロ・オリゾンテ市長のマルシオ・ラセルダ氏(PSB)の出馬を取りやめさせた。
だが、PSBは大統領選では中立を保つため、同党が持つ44秒はどの候補にもいかない。
シロ氏にとっては、中道政党群「セントロン」をジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)に奪われたのに続く連立不成立で、現状のまま連立政党が増えなければ持ち時間は26秒しかない。
シロ氏は1日、グローボ局のインタビューに答え、「PSBとの連立は本当に欲しかった」と落胆を隠せなかった。PTについては「ルーラ氏の出馬が怪しくなればなるほど、国に敵意をむき出してくる」とし、PTとPSDB、民主運動(MDB)の3大政党が自分をつぶしにかかっていると語った。