ブラジルでの社会開発事業への支援を目的とした国営銀行、社会経済開発銀行(BNDES)による今年の融資総額は、国内総生産(GDP)の1・2%にあたる830億レアルになる見込みで、対GDP比率としては最近20年間の平均値2・3%のほぼ半分になると、3日付現地紙が報じた。
同行の融資総額がGDP比率で最大だった2010年は、GDPの4・6%にあたる2780億レの融資を行った。
融資引き締めは、テメル政権の「融資をインフラ整備だけに集中させ、総融資額を小さくする」戦略の表れだ。政府はまた、BNDESの融資を少なくし、国庫庁へ資金を返済させる事も意図している。
労働者党(PT)政権時代の09~14年は、国庫庁が4400億レアルをBNDESに拠出、同行を世界最大級の開発支援銀行に押し上げた。
BNDESは融資力増大と共に存在感を高め、2008年の世界経済危機の影響で金の流れが停滞した時も、石油公社ペトロブラスに巨額かつ低金利の融資を行った。当時は国内業界トップ企業の国際化支援政策も採られており、同行も積極的に関与した。精肉企業JBSが国際大手複合企業(コングロマリット)へ発展したのもこの時期だ。
先週結ばれた政府との最終合意により、BNDESの政府への返済期限はこれまでの2060年から、2040年へと前倒しされた。話し合いの後、BNDESの理事会は、「今年の年間融資の目安はGDPの1・2%」との見解を明らかにした。同行融資部長のカルロス・タデウ・デ・フレイタス氏は、「これまでのBNDESが異常だった。今、BNDESは正常なリズムに戻りつつある」と語った。
今年については、期待されたほどの景気回復が見込めない上、貸付金利が引き上げられたため、同行の融資総額は750億レアル、GDP比率1・08%に止まる可能性も指摘されている。
ただし、コンサルタント会社InterBのクラウジオ・フリスチャック氏は、注力する分野次第で「今年の融資額830億レアル(GDP比1・2%)でも多過ぎる」と言う。「BNDESは、都市交通整備やイノベーション部門など、社会的利益が確実に見込める部門に絞って融資すべき」で、公社民営化にも関与できるが、民間企業は民間の金融機関で資金を調達するから、民間企業の事業への融資は対象外となるとの見解を示した。
また、リオ州連邦大学経済研究所のエルナニ・テイシェイラ・フィーリョ教授は、BNDESが融資枠上限を急に引き下げると、同行に頼ればよかった融資を外国資本に頼らなければならないケースなども出てくるので、ブラジル企業のドル高への脆弱性が高まるとも指摘している。