ブラジル連邦会計監査院(TCU)が国家公務員の給与明細を監査した結果、国家公務員1万2658人に違法な給与支払いが行われていたことが分ったと、6日付現地紙が報じた。
確認された違法支払いの総額は、年間7億3060万レアルに及ぶ。なお、この他にも4380件の違法給与支払いが疑われる案件もあるが、詳細は未確認だ。
違法支払いの手法は21種類に及んだ。その中には、死亡者への年金支払い、兼業できないはずの複数職務の給与を受け取っていたケース。累積できない複数の給与や手当を受け取っていたケースもあった。
TCUの監査はまだ進行中だ。これまでに652機関を調べ、44%にあたる287機関で違法支払いを発見したことまでは公開したものの、機関ごとの違法支払いの件数や、違法支払いを受けとっていた公務員の情報は公開しなかった。
TCUが調査を終えたのは、国家検察庁(連邦検察と労働検察、軍検察などの検察機関を統合したもの、MPU)、TCU、中銀、陸軍、公社や公団(北東銀行、社会経済開発銀行、連邦貯蓄銀行、郵便局、エレトロブラス、ペトロブラス)の諸機関で、昨年3月分の支払い情報を精査した。同月に支払いを受けた、現役、退職を含めた国家公務員、公社や公団の職員の総数は440万人で、支払い総額は222億レに及んだ。
サンパウロ市企業経営大学(EAESP/FGV)大学院で行政学を指導するグスタヴォ・フェルナンデス教授は、「技術の進歩と監査職員の努力によって、不正を発見できるようになってきた。10年前の不正件数はずっと多かったはず」と語る。
違法支払いが発覚した国家機関(立法、司法、行政の三権の別を問わない)の責任者たちは、違法支払いが行われていることを指摘された上、実態改善や、本来は支払われないはずの手当カットなど措置をとるため、詳細を明らかにするよう求められた。違法支払いが疑われるケースは、責任者を招いた公判の場で、違法支払いか否かが確定するか、更なる調査を要するかに判別される。
TCUが今年審理したのは、TCU内部部署である個人監査局(Sefip)の監査結果だ。
監査結果は、5月16日にTCUの全体審理にかけられた。報告官のアナ・アラエス判事は、「コンピューター技術を集中的に利用した監査は、各機関の不正支払の実態を明らかにし、それを正すためにTCUが果たすべき役割をより効果的に進めるのに役立っている」と語った。