ブラジル北東部を中心とした内陸部の田舎町では、銀行や現金自動預け入れ払い出し機(ATM)を狙った強盗が相次ぎ、金融機関が現金の取り扱いをやめていると、6日付現地紙が報じた。
近年ではクレジットカードやデビットカードでの支払いの他に、銀行口座からの自動引き落としが普及し、現金を使わない〃キャッシュレス社会〃が到達しつつある。しかし、そうした技術に馴染みの薄い高齢者は、年金を現金で受け取るため、時に100キロ以上離れた銀行まで行く現象が起きている。
人口1万7千人ほどのピアウイ州サンミゲル・ド・タプイオ市では、昨年末から現金が足りなくなり始めた。3件の銀行強盗と1件のATM爆破事件が相次ぎ、同市内のブラジル銀行、ブラデスコ銀行、郵便局(コレイオ)が現金を扱うのをやめてしまったのだ。これにより、多くの人々が宝くじ売り場(通称ロテリカ、各種支払いの受付業務も行っている)に押し寄せる現象も生じた。
同様の事態は北東部の小さな町々に増え広がっている。銀行警備系労働者たちの組合によると、今年上半期に発生した金融機関への攻撃件数は1275件で、1090件だった昨年上半期に比べて16・9%増えた。
法律上、金融機関は、「支店」を「顧客対応所」に変更することで、現金の取り扱いをやめることができる。2016年以降、市内唯一の「銀行支店」が閉鎖された町は215、その代わりの「顧客対応所」が開設された町は189だ。いくつの顧客対応所で現金を取り扱っているかは、ブラジル中銀も公開していない。