サンパウロ市のリオブランコ大学は7月21日に「漫画―歴史、様式、社会的役割―」と題したセミナーを開催し、同学や市内の他大学の教授らが講演を行った。セミナーを後援した明治大学からは小林正美副学長が来伯。小林副学長に漫画の文化としての側面や、同セミナーの意義を取材した。
セミナーにはリオブランコ大学、明治大学、サンパウロ州立総合大学(USP)、アルマンド・アルバレス・ペンチアード大学(FAAP)の日本文化やポップカルチャーを研究する教員らが登壇。日本の漫画市場、ソフトパワーとしての漫画、ブラジルの漫画史などをテーマに講演が行われた。
明治大学は都内に2つの漫画専門の図書館を有し、漫画を使った対外事業に注力。昨年ジャパン・ハウスに漫画本200冊を寄贈したのを皮切りに、中南米の協定校や日系団体にも寄贈を続けている。漫画による日本文化発信や、日本語学習のきっかけ作りが狙いだ。
小林副学長は「漫画を読んで日本に憧れ実際に訪日する若者は多い。影響力の大きいパワフルな媒体」と話す。将来的に、協定校から明治大学に留学する学生を増やすことを理想とする。
また「漫画はいまや日本の文化。日本では漫画自体の研究も進んでいる」と言う。「一見するとわかりやすいが、制作の過程は映画のように複雑。また、作品ごとに対象となる年代や性別が異なるなど表現内容が幅広い」とする。同学には漫画を専門にする教員が3人もいて、漫画を研究する留学生を迎え入れることも可能だ。
今回のセミナーについては「日本国外で漫画を学術的に取り扱った先進的な例」と評価。「リオブランコ大学のエドマン・アルセマン教授はセミナーを継続的に行いたいとしていた。今回のような場が今後さらに広がって行くはず」と期待を込めた。