ブラジルのテメル大統領は9日、高齢者、身障者に対する特別恩給(BPC)の不正受給を受けていた人への支払いを早急に差し止めるための大統領令に署名した。
月に1回、法定最低賃金と同額(現状では954レアル)を受け取れるBPCでは、以前から不正受給が行われていると指摘されていた。これまでは、不正受給が判明しても、実務の遅れから支給ストップまでに1年以上を要していたが、これからは、不正が判明した時点で支給がストップされるようになる。
大統領令を実行するための準備期間は120日間で、実際に支給停止が始まるのは来年からになるが、企画省と社会開発省の共同作業で不正受給を続けていた事が判明している人は15万1千人いる。これらの不正受給者の受給額は、月々1億5千万レアルに上る。
政府のデータによると、1996年のBPC受給者は34万6千人だったが、2017年には450万人に増えた。これに伴い、政府の支払い額も、1億7200万レアルから500億レアルに膨れ上がった。ブラジル政府は、BPC以外の社会保障費不正受給の実態調査も進めている。
2017年は、受給者登録上の不備や、2重支払い予防措置の欠如、本人確認や受給条件を本当に満たしているかの確認などのオペレーションに時間がかかったことなどで、支給停止には至らなかった例が相当数ある。これによる国庫への潜在的な損失は月額4億6千万レアル、年額55億レアルに達する見込みだ。(10日付エスタード紙より)