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《ブラジル》大統領選討論会 初回はぬるい議論に終始 ボルソナロは攻撃せず アウキミンに質問が集中 PTは同時間にネット放送

9日の討論会(Kelly Fuzaro/Band)

9日の討論会(Kelly Fuzaro/Band)

 9日夜、バンデイランテス局で今回の大統領選では初となる候補者の討論会が開かれたが、労働者党(PT)候補が参加せず、高支持率の極右候補ジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)に質問があまり飛ばないなど、議論の盛り上がりに欠ける内容となった。10日付現地紙が報じている。

 

 この日の討論会には8候補が参加したが、初回とあってか、激しい足の引っ張り合いは見られなかった。

 今回の討論会ではボルソナロ氏に対する各候補の出方が注目されていたが、過激な発言とそれが巻き起こす物議を喜ぶ傾向の強い同氏の支持者の反応を気にしてか、同氏をこれまで頻繁に批判してきたシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)をはじめ、ほとんどの候補者が同氏への攻撃を避け、注目させない路線をとった。

 その中で、急進左派・社会主義自由党(PSOL)候補のギリェルメ・ボウロス氏だけが、ボルソナロ氏が架空の職員を登録し、その給与を自身の家庭内労働者に支払っていた疑惑にかみつく質問をした。だが、ボルソナロ氏は「そんなことより、他人の家に踏み入ることの方が恥ずかしい」と切り返し、ボウロス氏がリーダーを務めるホームレス労働者運動(MTST)による土地の不法占拠を皮肉った。

 また、アルヴァロ・ジアス氏(ポデモス)がボルソナロ氏の女性蔑視的な言動を攻撃したのに対しては、「私は強姦犯罪者に薬を飲ませて性欲を失わせたりする『化学的な処罰』の実施を提案しているが、それに反対しているのは左翼政党の女性たちだ」と返した。

 他の候補が標的にしたのは、連立政党数最多を誇るジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)だった。

 マリーナ・シウヴァ氏(REDE)は、アウキミン氏は「テメル大統領と距離を置く素振りを見せながら、選挙を有利にするだけのためにテメル政権の連立政党と大型連立を組んだ」と批判したが、同氏は「私は政界改革の方向に進んでおり、それには多くの協力者が必要だ」と返した。

 また、エンリケ・メイレレス氏(民主運動)が、アウキミン氏が生活扶助(ボルサ・ファミリア)をほめたことに関し、「PSDBは、ルーラ政権があの制度を導入した当時、『施し程度の扶助』と言って批判していたが」と皮肉ると、「いや、銀行家のボルサ(大金の扶助の意)だ」と言って、銀行家出身のメイレレス氏をあてこすりながら答えた。

 なお、ルーラ氏は裁判所の判断で討論に参加できなかった。同氏の出馬が正式に否認された場合にPT候補となる予定のハダジ氏は、この放送の裏で独自の政治討論会を開催し、ネットで配信した。この討論会には、グレイシー・ホフマンPT党首、マヌエラ・ダヴィラ氏(副候補、ブラジル共産党・PCdoB)、ペトロブラス元総裁のセルジオ・ガブリエッリ氏(PT)が参加した。