エスピリトサント州北東部でマラリアが流行状態となり、6日にはヴィラ・パヴァン市が緊急事態を宣言。同市では、臨時の検査施設設置や虫除けの無料配布なども始まったと10日付現地紙、サイトが報じた。
マラリアはハマダラカが媒介し、40度近い高熱や頭痛、吐き気などの症状を呈する。北部諸州では頻繁に見られ、予防や治療も可能だが、エスピリトサント州では、緊急事態を宣言するような流行状態は初めてだ。
患者が急増しているのは、ヴィラ・パヴァン市とバーラ・デ・サンフランシスコ市で、10日朝までに感染が確認された患者の数は、前者が92人、後者が20人となっている。患者の急増ぶりは、10日付の現地紙が前者の患者数を86人としていたのに、同日付のサイトは92人と報じた事からも窺われ、先週は76歳の男性が死亡する事態に至った。
当局は、二つの市で流行中のマラリアは、北部に出かけたり、北部から移動してきた人が持ち込んだりしたものと見ているが、この説は実証されていない。患者の発生は30日前位からあったようだが、当局が知るところとなったのは先週で、車などを使った殺虫剤散布が両市で始まった。
患者急増が著しく、緊急事態も宣言されたヴィラ・パヴァン市では、短時間で感染の有無を判断出来る検査施設が設置され、虫除けの無料配布や患者への対応のために必要な資材購入なども行われている。
また、少なくとも30日間は、祝賀行事や宗教行事、スポーツの祭典など、不特定多数の人が一堂に会するイベントの開催も禁じられた。
同州で蔓延しているマラリア原虫の種類は報じられていないが、熱帯熱マラリア原虫は重症化しやすく、死者が出る率が最も高い。ブラジルでは通常、この原虫による患者は北部でのみ発生している。3日熱マラリア原虫や4日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫は一旦熱が下がるなど、少し症状が穏やかだが、発熱を繰り返す内に慢性化し、数カ月から数年間潜伏して発症する事がある。
ブラジルでのマラリア患者は、16年が12万9243人で、過去37年間で最少だった後、17年は19万4372人、今年も1~6月で9万2357人と増加傾向にある。