10日に起きたトルコの金融危機の影響で、ブラジル市場でも10日、13日の両日、急激な株の下落やドル高が起きるなど、新興国を中心にそのあおりを受けている。13日付現地サイトが報じている。
10日、トルコ・リラが一時20%急落するという、2001年以来の最大の暴落を記録した。
リラの暴落は、トルコが同国に逮捕拘束していた米国人牧師のアンドリュー・ブランソン氏を釈放要求期限の8日を過ぎても釈放しなかったため、トランプ大統領が制裁として、同国製の鉄鋼とアルミの輸入関税を2倍にしたことが発端だ。
ブランソン氏は2016年に、トルコのエルドアン大統領の独裁政権に反対するクーデターに参加した疑いで逮捕され、拘留されている。
これにより、トルコでは年初から換算すると40%を超えるドル暴落が起きたことになる。同国中銀は13日、銀行の供託金の比率を変更すると共に、リラ安定のため、金融システムに60億ドルと30億ドル相当の公的資金を投じる対策に出た。トルコはG20の中で最も負債が大きく、為替の不安定さや15%を超えるインフレと言った問題を抱えており、債務不履行になる可能性を懸念する声が一気に高まった。
ただ、当のエルドアン大統領は11日、「北大西洋条約機構(NATO)の戦略的同盟国を牧師1人と引き換えにしている」「脅しでトルコ国民をおとなしくさせることはできない」とし、トランプ大統領に譲歩する姿勢がないことを明言しており、金融市場の不安をさらに強めている。
今回のこのトルコでの金融危機は「他の新興国にも影響が及ぶ」と不安視されており、10日のサンパウロ証券市場指数(IBOVESPA)は早速、前日比2・86%減の7万6500ポイントに下落。為替も、1ドルが3・86レアルに跳ね上がった。
この傾向は13日も続き、ドルは市場での取引開始早々に1・15%増の3・9127レアルをつけ、その後も3・9292レアルまで上昇。午後3時半過ぎの為替は1ドル3・9077レアルだった。旅行用ドルは一時4・07レアルにまで達していた。
また株価も午前10時30分現在で0・66%減の76012・99ポイントを記録したが、午後1時18分には7万6622ポイントまで回復した。
こうした動きは他の新興国でも起こり、南アフリカのランドやメキシコのペソもドル高を起こしている。
ブラジルの場合、ただでさえ、大統領選での当選者の雲行きが見えないため、ドル高になりやすい傾向があったが、このトルコの件がそれに輪をかけた形となった。
ブラジル中銀はドル高対策として、9月に期限を迎える52億5500万ドル分の先物取引契約中、4800件(21億6千万ドル相当)を売りに出した。