サンパウロ市リベルダーデ区の教育健康開発協会(IDES、セルジオ・デ・マトス・オリベイラ会長)の中に、NPO法人交流ネット(本部=愛知県)などが進める日語教育を中心とする支援センターが新設され、7月16日に開所式が行われた。
交流ネットの林勉事務局長、アバンセ・コーポレーションの島田英治事務取締役、法人ブラジリアン・ビジネスグループ(本部=神奈川県)の橋本秀吉代表らが出席し、デカセギ希望者向けの無料日語教育機関の発足を祝った。開所式後は懇親会のほか、初授業も行われた。
日語教育支援を行なう交流ネットの林事務局長(37、愛知県)は同センターの開設について「起業して成功する人や会社内でのキャリアアップを目指すなど、在日日系人を含め、日本側の受け入れ態勢も変化している。訪日就労者が一歩踏み出せる支援を、日伯両方でしていけたら」と活動目的を語った。
同センターでは訪日就労や留学など、訪日予定の日本語学習希望者に日本語の授業を行なう。将来的にCADの授業など職業訓練の実施も計画しているそうだ。
日語教室では査証発給要件である日本語能力N4相当の能力取得を目指す。遠方に住む人のためにインターネットで講義が受けられる「Eラーニング」の授業も用意する予定。
林事務局長は「過疎化が進む日本の田舎に住み、スキルや日語能力を獲得した日系人が企業の重役に就くようになるのが理想」と目的の意図を語った。林事務局長によると、ブラジルの不況のため家族で訪日する日系人も増え、ブラジルから日本へ「移民」するような現象が起きているそうだ。
人手不足により会社の経営を日系人に任せたいという人も出てきているという。「日系人の将来像が変わりつつある。成功例をつくりたい」と意気込んだ。
式典後に行われた授業に参加したヴィトル・ニイチ・ダ・シウヴァさん(四世、26)は、「自分のルーツである国への興味もあるし、日本に親戚が住んでいる。日本に行ってみたい」と日本語学習の理由を語った。
同会の日本語教師コーディネーター、松岡佐智江さんは「ここでは会話を中心に身につけるため、日本語を日本語で教える。留学やデカセギに行く人に利用して欲しい」と期待した。