現在、大統領選において最大の懸案事項であるルーラ元大統領(労働者党・PT)の出馬に関して、最高裁(STF)のカルメン・ルシア長官や選挙高等裁(TSE)のローザ・ウェベル長官が厳しい見解を示している。問題は、ルーラ氏への判断がいつになるかによると、14日付現地紙が報じている。
大統領選出馬予定者のTSEへの登録期限は、今日15日で締め切られる。PTはルーラ氏を正、フェルナンド・ハダジ氏を副で届出を行うことになっている。
現在、パラナ州連邦警察内で服役中のルーラ氏が出馬できるか否かはTSEの判断にかかっているが、その雲行きは明るいとは言えない。
14日、TSEは長官として最高裁判事でもあるローザ・ウェベル氏を迎えた。新長官は、「複数の裁判官による審理で有罪判決が出た政治家は選挙に出馬できない」とするフィッシャ・リンパ法を、厳しく遵守する人物として知られている。
新長官は、TSEで昨年行われた、14年の大統領選でのジウマ/テメル両氏のシャッパの選挙法違反での当選無効投票にも「賛成」票を投じ(結果は反対多数)ている。また、アマゾナス州やトカンチンス州、パライバ州の知事らの罷免にも賛同している。
他方、STFのカルメン・ルシア長官も13日、「フィッシャ・リンパ法は社会が勝ち取った法」との見解を示し、このところ、ルーラ氏支持者の間で盛り上がっている、同氏の出馬を認める嘆願に意を介さない発言を行った。さらにTSE前長官のルイス・フクス氏も同様の見解を示している。
だが、問題はTSEがいつルーラ氏への判断を示すかだ。13日、TSEのアジマール・ゴンザーガ判事は、下議候補のシャルベル・エリアス・マロウン氏(ノーヴォ)からの「ルーラ氏の出馬登録そのものをTSEが却下する」ことを求める請求を却下。同判事も、7月のウェベル判事(当時)同様、TSEは、出馬申請がなされた時点で、各候補の出馬資格の有無を審理することができるとの見解を明らかにした。
ただ、審理するにしてもその時期が問題だ。テレビやラジオでの大統領候補者の政見放送がはじまるのは8月31日。さらに「候補者の変更」が認められるのが9月7日までだが、「出馬資格の有無」をTSEが判断するのは9月17日が期限となっているためだ。
PT側では「ハダジ氏に代わるとしても、少なくとも政見放送開始時はルーラ氏で行きたい」という意見が多く、早い時期でのTSEの審理を望んでいない。
また、ルーラ氏の弁護団は「高等裁(STJ)やSTFにルーラ氏の出馬停止を差し止める暫定令を請求する」ことも考えているが、「そうすればTSEでの審理が結果的に早まる」と反対する声もあるという。