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サンパウロ州警察=昨年だけで民間人を940人殺害=全体の74%は過剰防衛=14の改善勧告出される

サンパウロ州警察学校卒業式の様子(参考画像・Alexandre Carvalho / A2img)

サンパウロ州警察学校卒業式の様子(参考画像・Alexandre Carvalho / A2img)

 昨年サンパウロ州内で発生した、警察が民間人を殺した事件の74%に、警察側の過剰防衛が見られたとサンパウロ州警察オンブズマンが13日に発表したと、14日付現地紙が報じた。

 昨年、サンパウロ州で警察に殺された民間人の数は940人を数えた。これは2001年の統計開始以来最多だ。そのうち、「警察と犯罪容疑者が直接対峙した結果の殺害」は全体の4分の1にも満たなかった。

 年齢別に見ると、犠牲者のほぼ半数は18~25歳で、人種別では犠牲者のほぼ3分の2が黒人などの有色人種だった。

 オンブズマンは、警察組織から独立して苦情を受け付けるなど、その活動を客観的にチェックする機関だ。昨年に州内で警察に殺された940人中、オンブズマンが調査できたのは、合計756人が死亡した639件の事件(事件1回で複数死亡するケースもある)だった。

 調査できた639件中48%は、「容疑者が銃器で武装しており、正当防衛ではあるが、頭や背中などを撃っており、行為としては過剰」とされた。26%は「偽物の銃や刃物を持っていただけで、警官が撃ち殺したのは過剰防衛」とされ、残る26%は「相手を殺害してしまったが、行為自体は正当」とされた。

 警察による殺人が増えている事は、重装備の犯罪組織が跋扈し、警察がそれに正面対決していることを意味しない。昨年、州内で発生した重装備の犯罪組織と警察間の組織的な武力衝突は、7件に過ぎなかった。オンブズマンの一人は「ほとんどの場合、警察のほうが犠牲者より重装備」と記事中で語った。

 昨年は合計1900丁の銃器が押収された。最も数が多かったのは40口径ピストル(1057丁)だが、ライフル銃や機関銃も合計150丁以上押収された。

 警察による殺人の93%は軍警によるもので、部隊別では第一大隊所属の戦術部隊(Rota)の隊員によるものが68人と最多だった。

 オンブズマンが作成した報告書では、サンパウロ州治安局とサンパウロ州政府に対し、「状況改善のための14の勧告」も行っている。

 その中には、(警察の手による)殺害事件減少特別委員会の再設置に加え、犯罪を力で押さえ込むのではなく、発生防止に向けた警察活動に変化させていくこと、「ジラルディ方式」と呼ばれる、相手を殺すために銃を使うのでなく、自衛のために効果的に使う方法の研修、社会的差別や人種差別の研修を警察学校で受けさせることなどが含まれている。

 ブラジル治安フォーラム(FBSP)のサミーラ・ブエノ氏は、オンブズマンの報告書は、警察活動の透明性を高める意味で有意義だとしている。