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《ブラジル労働市場》時短契約の件数が伸びる=改正労働法の影響強く=損をするのは労働者だけ?

昨年の労働法改正で、ブラジルの労働市場は大きな影響を受けた。(参考画像・Alan Whithe / Fotos Publicas)

昨年の労働法改正で、ブラジルの労働市場は大きな影響を受けた。(参考画像・Alan Whithe / Fotos Publicas)

 昨年11月に改正労働法が発効して以来、新たに労働者を雇い入れた職種の4分の1は、「インテルミテンテ」と呼ばれる、短時間、または少ない日数での雇用形態を用いている事がブラジル労働省のまとめで分ったと、15日付現地紙が報じている。

 今年の4月から6月にかけて労働者を雇用、または解雇した2469職種中、642の職種でインテルミテンテでの雇用が行われていた。また、同期間に発生した16万2千人の雇用中、ほぼ1万人(6%)はインテルミテンテだった。

 6月は正規雇用を失った人の方が、新たに正規雇用で職に就いた人より多かったが、インテルミテンテで職を得た人は増加した。

 この契約には、固定した就業時間はなく、雇用者は必要に応じて労働者を呼び出せる一方、労働者にも、その呼び出しに応じない権利がある。多くの場合、販売員、レストランの店員、警備員などの専門性が低い職種に用いられるが、専門性の高い職種で用いられる事もある。

 「インテルミテンテのことを、時間帯で変化する仕事量に応じて、働き手を増減させられる、有力な選択肢だと経営者たちは見ている」と弁護士のクレーベル・ベンヂッチ氏は語る。

 インテルミテンテ契約は、「登録も簡易で、雇用の増大、失業の減少に貢献する」との意見もあるが、「週40~44時間就労の契約だった労働者が、インテルミテンテの労働者に取り替えられやすくなり、個々の労働者の労働条件は逆に厳しくなる」との意見も出ている。

 また、インテルミテンテ契約労働者にちゃんと仕事が回されているか、契約はしたが、ほとんど仕事に呼ばれない事態になっていないかという疑問も専門家の間からは出ている。労働省の統計では、週40~44時間の契約であっても、インテルミテンテ契約であっても、1人の正規雇用成立となるが、その実態は把握できていない。労働省関係者は、「今は実態調査中で、結果も公表していく」としている。

 また、今年の4~6月に、インテルミテンテ契約を結んだ労働者中1割は、大卒、または大学在学中で、彼らが就いた職種は看護師、教師、エンジニアなどだった。

 インテルミテンテ契約がこのまま進めば、「労働市場の柔軟性を高める」との題目と共に定められた改正労働法によって、高学歴者が専門的に学んだ職種に就けず、低賃金、低い職能レベルに甘んじなければならない状況が起こり得ると指摘する専門家もいる。