10月の統一選出馬予定者の登録最終日にあたる15日、労働者党(PT)は高等選挙裁判所(TSE)で、服役中のルーラ元大統領の大統領選出馬登録を申請した。その直後に連邦検察庁のラケル・ドッジ長官らから、出馬を無効にする請求が行われた。16日付現地紙が報じている。
グレイシ・ホフマン党首を筆頭とするPTの一行は、申請期限の迫った15日夕方にTSEに着き、5時15分にルーラ氏の登録を行った。一行の中には副候補のフェルナンド・ハダジ氏や、ハダジ氏が正候補になる場合の副候補のマヌエラ・ダヴィラ氏(ブラジル共産党・PCdoB)、さらにはジウマ前大統領も帯同した。
登録の際に注目されたのは、ルーラ氏の犯罪履歴だ。ルーラ氏は現在、パラナ州の連邦警察署に収監されているが、選挙人登録は「サンパウロ州」で行われているため、PTは、サンパウロ州の裁判所が発行した無犯罪証明書4通を提出した。サンパウロ州発行の無犯罪証明書には、ルーラ氏が金属労組の委員長だった時代の政治犯歴は記されているものの、ラヴァ・ジャット作戦絡みの、パラナ州連邦地裁やリオ・グランデ・ド・スウ州の第4地域裁での判決に関する記載は入っていない。
また、PTはルーラ氏からの書簡も紹介した。それによると、「党大会で党が公認した候補は、死亡するか、辞退するか、TSEが無効とする以外は出馬が保障されている。私は死にもしないし、辞退もしない。最後まで戦うのみだ」と宣言した。
だが、ルーラ氏の登録後、TSEには同氏の出馬無効や登録拒否を求める請求書が殺到した。
その一つは連邦検察庁のラケル・ドッジ長官によるものだ。同長官は、「第2審で有罪になっているからフィッシャ・リンパ法に抵触し、出馬できない」とし、被選挙権がない候補は、選挙資金を公金でまかなうこともできない、とした。
また、政治活動団体「ブラジル自由運動(MBL)」のリーダーで民主党(DEM)から下議選に出るキム・カタギリ氏や、テレビ・タレントで社会自由党(PSL)所属のアレッシャンドレ・フロッタ氏もルーラ氏の出馬無効を求めた。
こうした中、PT側は、17日にレデ局で行われる大統領選討論会へのルーラ氏の出演許可を訴えている。
これらの訴状に関する審理の報告官は、最高裁判事でTSE副長官でもあるルイス・アルベルト・バローゾ判事となった。同判事は最高裁判事として、ルーラ氏が服役するきっかけとなった4月の「2審目で有罪なら即服役か」の審理で賛成票を投じた上、多くの場合、検察庁の訴えに賛同する判断を下している。
PTはバローゾ氏が報告官を務めることを不服とし、これまでに出されたルーラ氏の出馬無効を求める要請を「登録されてない候補は裁くことはできない」として拒否してきた、アジマル・ゴンザーガ判事に戻すよう求めている。