18/19農年が始まるのに、グリホサート系の除草剤が使えない事になり、農業界が「今年の収穫は台無しだ」と苦言を呈していると16日付現地紙が報じた。
グリホサート系の除草剤を雑草の茎や葉に散布すると、アミノ酸合成が阻害されて枯死する。動物には毒性を示さないとされており、土壌に達すると微生物によって分解されるため、安全性が高いともされてきた。
だが、連邦直轄区の連邦裁判所が9月3日からグリホサート系除草剤の登録差し止めを決めたため、9月に始まる大豆の作付が出来ないと農業界が戸惑っている。
グリホサート系除草剤の登録差し止めは、米国カリフォルニア州の裁判所が10日に、アグリビジネス最大手の一つのモンサント社に、同社が開発したグリホサート系除草剤「ラウンドアップ」を使用した男性に、2億8920万ドルの賠償金を支払うように命じた事が原因だ。
男性は学校の校庭の除草と整備のために除草剤を使っていたため、悪性リンパ腫を発症したと訴えていた。裁判では陪審員全員が、グリホサートは発がん性があるのに、危険性が十分伝えられてなかったと判断した。
ブラジルでは、8月にトウモロコシの収穫を終えた後に除草剤を撒き、収穫後の畑が雑草などで覆われてしまうのを防いだ上で、大豆の作付を始めるのが常だ。
枯れた葉や茎、雑草は肥料ともなるため、除草剤を使えば、収穫後の畑の草取りや土を反す作業も不要となる。だが、除草剤が使えなくなれば、作業の手間が何倍もかかり、肥料も必要となるため、生産者や組合関係者は「350万ヘクタールにも及ぶ畑の管理が難しくなり、収穫は保証できない」という。
登録差し止めは、国家衛生監督庁(ANVISA)が安全性を再評価するまでとなっているが、一部地域では、罰せられるのを嫌った業者が除草剤の販売を拒んだりし始めているという。
モンサントは、遺伝子組み換え技術(GM)を使い、除草剤に耐性のあるトウモロコシや棉、大豆、小麦の種子も開発。米国やブラジルなどの穀物輸出国はGM種子と除草剤をペアで使って売上と利益を大幅に拡大してきたため、除草剤抜きの生産体制は出来ていない。