「いつになったらギネスの認定結果は分かるの?」――そんな声が巷でたびたび聞かれる。ブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)による「第21回日本祭り」(7月20~22日)ではギネス記録への挑戦が行われ、事前には「その場で可否が判定される」と広報されていた。その後も「今週中には結果がでるのでは」との県連関係者のコメントが続き、ついに1カ月近くがたった。一体何がどうなっているのか、山田会長に9日、改めて取材してみた。
「日本国外で一番日本食が集まるイベント」としてギネスに登録するための認定条件は、「500食」という前提で始まった。「撥ねられる」ことを想定して当日は多めに集められた。掛かった経費は約12万レ。
当日は47都道府県や日本食料理店などからなんと609食もの日本食が提出された。ただし、9日までに認定されたのは498食のみ。つまり111食が認められなかった。出品料理の2割近くが認められなかったのはなぜか。
当日、婦人や青年らなど県人会関係者は早朝から準備し、会場内の冷蔵庫に料理が次々に運び込まれた。審査員のギネス社員2人と5人の日本食シェフも午前7時から使用材料の審査を始めた。
山田会長によると、「材料確認の行程で味は日本のものでも、使用材料にピンガ、シュシュなど日本にない食材が書かれているものはその時点で撥ねられた」という。
そのほか、仏菓子「マカロン」や「マラクジャのムース」「ホットケーキ」など明らかに日本食でないものは最初から並べられなかった。
規定では「審査対象になる料理は午後2時までに食べられないといけない」となっていたことも、審査の心象に影響しているようだ。当日は午後1時15分から眞子内親王殿下のギネス会場ご視察が予定されていた。そのため、来場者が出品料理を食べ始めるのが、ご退場された後、午後2時近くになっていた。「出品料理は捨ててはいけない」規定があり時間的にかなり厳しい中で食べることになった。
漬物などの量の問題も生じた。規定では「料理は2人分用意すること」とされていたが、漬物など少量で楽しむことを想定して用意されたものもあり、「2人前には少なすぎる」という審査員側の認識の違いから議論になる場面も。また刺身などは氷の上に置かなければいえない規定があり、一塊の氷の上に2品が置かれた場合、1品として数えられるケースが発生したようだ。
山田会長は日本祭り終了から3週間経っても結果が出ないことに不安感を示しつつ、「まだ米国ギネス社が審査中で、市川実行委員長が根気強く交渉中。今週にも結果がでるのではと期待している」と語った。さらに「でも、ギネス審査のボランティアだけで多くの若い人の協力があり、この企画ができた。それだけでも大きな収穫。若者が多く参加してもらえる取り組みになった。日本祭りの未来に期待ができる」と締めくくった。
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ギネスの日本食認定に関していろいろ疑問が湧く。20年以上も前から在日ブラジル人の多い地域の酒屋には普通にピンガは売られているし、シュシュは日本では「隼人瓜」と言われ、普通に漬物や炒め物などで料理されており、一般的な食材といえる。日本でも流通しているものが「撥ねられる」こと自体、審査する側の基準がおかしいではという疑問がわく。ただし「ピラルクーのタレ焼き」(ランショ・デ・リオ・ドッセ)は、どう考えても日本にはない食材。ただし調理法が日本式。その辺「正式な日本料理とは認めがたい」との考え方があるのは仕方なさそう。とはいえ調理法すら日本式ではない、仏菓子「マカロン」を持ち込んだ日系団体や「マラクジャのムース」「ホットケーキ」のレストラン藍染側の〃見識〃はちょっと疑われるかも。