【既報関連】18日、ベネズエラとの国境を有すロライマ州パカライマで、市民がベネズエラ移民の避難所を焼き討ちする事件が起き、大きな問題となっている。同州はマドゥーロ政権の圧政から逃れて来た移民急増で犯罪も増加。移民憎悪が膨らみ、緊張関係が続く中、極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏の支持率が圧倒的に高くなっている。19~21日付現地紙が報じている。
ロライマ州では難民急増に伴う犯罪増加なども関係してか、極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏の支持率が圧倒的に高い。20日発表のイボッピ調査でも、全国的に1位のルーラ氏を抑え、他州での支持率の2倍近い38%の支持率を得ている。
ただ、100万%を超えるとされるハイパーインフレや、マドゥーロ独裁政権による民主制崩壊によるベネズエラ移民流入は止めようがない。18日のベネズエラ移民襲撃事件以来、1200人を超すベネズエラ人がロライマ州を後にしたが、20日には、850人が入国と報じられている。
同国からの移民問題はペルーやエクアドル、コロンビアでも起きており、「パスポートを持つ移民のみ」の受け入れや特別ビザ発給などの対応がなされている。
だがブラジルの場合、ロライマ州がただでさえ財政的に恵まれない州であることもあり、移民にうまく対応できていない。国の対応も遅れがちだ。
スエリー・カンポス同州知事は20日、最高裁に「移民受け入れ一時停止」の嘆願を出し、「パスポート所持の移民のみ受け入れ」の嘆願も行ったが、連邦政府は人道上の理由も含め、国境封鎖に応じない意向だ。最高裁は先月、同州地裁判事による国境封鎖に「憲法違反」の判断を下している。また、国家総弁護庁(AGU)も21日に、国境封鎖は違憲との意見書を最高裁に提出した。
20日夜には、連邦政府が派遣した、省庁間を越えた専門家の一行が同州に到着。同州政府や市民団体、国連関係者らと会い、ベネズエラ移民問題について話し合った。
なお、18日に起きたパカライマでの難民襲撃は、17日夜、ブラジル人商人宅に侵入したベネズエラ人の強盗4人が、商人に暴行後、現金などを奪って逃げたことに対する報復行為とされている。また、突発的なものではなく、計画的なものだったと言われている。
同州では2016年からベネズエラ移民が急増し、1日平均500~800人が避難してきている。それに伴い、犯罪増加や病院などでの移民への対応優先などが起き、それを不満とするグループが、「全ての移民は出て行け!」などと称するキャンペーンをネット上で展開。差別的な投稿なども行われており、18日の事件もネットで画策されたという。18日の抗議行動激化は、被害に遭った商人が瀕死の重態で昏睡状態と偽るビデオが流され、市民感情に火がついたのが原因だ。