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《レアル安》2年半ぶりに1ドルが4レアルを突破=「選挙が影響」の声が大勢=展開次第では更なる落ち込みも

行き過ぎたドル高は、インフレの動きにも影響する(参考画像・Fernanda Carvalho / Fotos Publicas)

行き過ぎたドル高は、インフレの動きにも影響する(参考画像・Fernanda Carvalho / Fotos Publicas)

 ドル高レアル安がとまらない。21日の為替相場は、5営業日連続ドル高の、前日比2・13%高1ドル=4・04レで引け、2016年2月18日以来、2年半ぶりに1ドル=4レアルの水準を突破したと、22日付現地各紙が報じた。

 その理由を、20日夜に発表されたブラジル世論調査・統計機関(Ibope)の選挙情勢中間発表などで、ジェラウド・アウキミン候補(民主社会党・PSDB)の苦戦が明らかになったためと、各紙は見ている。

 Ibopeと、20日午後発表の全国運輸連合(CNT)の世論調査は共に、労働者党(PT)のルーラ候補、自由社会党(PSL)のジャイール・ボルソナロ候補の優勢を伝えている。

 市場関係者は、現テメル政権が挫折した、社会保障改革とそれに伴う大胆な国家財政の立て直しが出来るのはアウキミン候補だけと見ており、同候補が苦戦している現状がレアル売りを引き起こしている。

 米国ジョン・ホプキンス大学の経済学者、モニカ・デ・ボッリ氏は、「大統領選直前に、経済建て直し手腕は期待薄の候補が優勢という現状では、レアルが不安定になるのは自明」と語る。投資家たちも、レアル安はさらに進む可能性があると見ている。来年7月の先物ドルは1ドル=4・1レアルで取引されており、再来年1月は4・2レアルだ。

 一部では、TVによる選挙キャンペーンが始まる今月末より、アウキミン候補が盛り返す可能性も指摘されている。

 一般にドル高レアル安が起きる時、ドルは他の通貨に対しても上昇するが、21日のドルはレアル以外の多くの通貨に対して値を下げており、国内要因がより大きかったことを示している。

 投資顧問会社LCAのエコノミスト、ファビオ・ロマン氏は、「ルーラ氏の出馬が認められないまま政見放送などが始まった後に出馬登録が取り消され、代わりのPT候補のハダジ元サンパウロ市長がボルソナロ候補と決選投票という構図になれば、市場はさらに冷え込むだろう」と語る。別のエコノミストも、「レアルはブラジル中銀の市場介入で持ちこたえていただけ」と語る。

 ただし、今回のレアル安を、2002年にルーラ氏が当選した時のレアル安と同列に見るのは早計だ。「2002年の外貨準備高は358億ドルだったが、今は3794億ドル。貿易収支やサービス収支、所得収支、経常移転収支を合わせた経常収支の赤字額も当時のGDP比2・18%だったのが、今は0・7%。対外債務も総額では増えているが、16年分のインフレを加味すればむしろ少ない」と投資銀行戦略研究家のフェルナンダ・コンソルテ氏は語っている。

 なお、22日の為替は午後4時半時点で1ドル=4・06アルで推移、2日連続での4レ水準キープが濃厚な情勢だ。