今年上半期にブラジルから国外に送られた金は10億ドル(約40億レアル、日本円では1200億円相当)で、1995年の統計開始以来最高額を記録したと、22日付現地紙が報じた。
ブラジル国内にはびこる暴力や、経済見通しの暗さ、選挙の行方が見通せないことによる不安感などから、ブラジル国外に居を移したりする人々が昨年より増えている事が要因だ。
不動産業者、為替仲買人、国外送金担当会社などによると、国外に送られた資金は、現地の生活費や現地で学ぶ子供への仕送りといった用途だけでなく、家を買ったり、起業したりする資金になっているという。
ブラジル中銀は国外送金の限度額を定めていないが、額があまりに大きいか、送金者の収入や所有財産に対して不釣合いな場合は、送金業者が出所の説明を求めることがある。国税庁も送金オペレーションを監視している。
今年上半期と昨年上半期を比較すると、ドル高レアル安のせいで、米国への送金額がほぼ半分に減っている。それでも米国は最大の送金先で、減少後も他国を抑えてトップを維持している。
送金先の1位は米国の2億2160万ドル(前年同期比47・9%減)で、2位がポルトガル1億3790万ドル(230・6%増)、3位が中国6480万ドル(45・6%増)、4位はカナダ6010万ドル(228・4%増)と続いている。
ポルトガルへの送金が230%増えたのは、16年3月から17年10月にかけて、富裕層、企業家向けの移住ビザ、ゴールデンビザ取得のブラジル人数が222%増えた事と関係しているとブラジル紙は分析している。