【既報関連】6月に始まった、社会統合基金/公務員財形計画(PIS/PASEP)休眠口座からの引出し解禁は、7月の消費活性化、生産拡大などの効果をもたらしたと、23日付現地紙が報じている。
6月に始まった引出し解禁の対象は1971年~88年10月4日までに積み立てたPIS/PASEPで、この時期に積み立てた資金は、本来の年齢制限に関係なく、引出しが認められる。
対象口座の引出し期間は9月28日までで、2300万人に総額173億レアルの経済効果となる。口座の持ち主が死亡している場合は相続者が引き出せるが、PISは連邦貯蓄銀行(Caixa)、PASEPはブラジル銀行への直接の確認が必要だ。
PIS/PASEPの引出し年齢は70歳だったが、年齢制限が徐々に緩和され、昨年後半には60歳まで引き下げられた。昨年末以降、500万人が総額66億レを引き出しており、60歳以上の人と6月の決定で権利を得た人が全員引き出した場合の経済効果は総額390億レ(GDPの0・55%相当)になると、企画省は見ている。
経済調査会社MBアソシアードスのエコノミスト、セルジオ・ヴァーレ氏は、PIS/PASEP引出し解禁は、第3四半期の経済指標にも影響すると見ている。
他方、ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団の経済学者マウロ・ロシリン氏は「PIS/PASEPの引出し解禁は、昨年の勤続期間保障基金(FGTS)の引出し解禁同様に、経済を後押しするが、景気は戻ったと見るのは早い」という。市場関係者も、「大統領選の行方が不透明なこともあり、勢いが続くかどうかは疑問」としている。
生産拡大については、全国工業連合が22日、7月の生産能力稼働率は68%に回復したと発表した。7月の値としては4年ぶりの高さで、昨年11月以来の水準だ。生産拡大はPIS/PASEPの引出しに伴う家庭支出増の影響もあるが、専門家は5月のトラックストでの減産修復や歳末商戦への準備、為替の動向を主要因と見ている。
ストからの回復と工業生産拡大を受け、7月の正規雇用は4万7千人分増えた。この数値も7月としては6年ぶりだ。雇用増は労働者全体の給与増や購買力増も意味し、さらなる経済指標改善も可能だ。全国財・サービス・観光商業連合によると、8月の小売売上は前月比で3・4%、消費者の購買意欲も0・6%向上している。