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サンパウロ市会計検査局=例年にない、多数の入札停止=「裏に政治的意図」と識者

パカエンブー競技場の運営権民営化の入札もTCMはストップさせた。(参考画像・Fernanda Carvalho / Fotos Publicas)

パカエンブー競技場の運営権民営化の入札もTCMはストップさせた。(参考画像・Fernanda Carvalho / Fotos Publicas)

 【既報関連】サンパウロ市の会計検査局(TCM)は、例年にない件数の工事やサービスの契約や入札手続きを停止させていると27日付現地紙が報じている。

 現職ブルーノ・コーヴァス市長、4月まで職にあったジョアン・ドリア前市長(共に民主社会党・PSDB)市政が発表した入札契約の内、164件(総額12億レアル)を、TCMは今年、一時停止した。

 今年上半期に出された入札停止措置は104件で、88件だった昨年より20%増加している。

 今月のパカエンブー・スタジアム入札差し止めで、TCMの動きは注目を集めた。同スタジアム民営化は前ドリア市長、肝いりの計画だった。ドリア前市長は、退任前にTCM廃止さえも求めたが、後任のコーヴァス市長はその方針をとっていない。

 TCMは公的支出を監理する機関であるため、入札手続きを停止させる権限を持ってはいる。しかし、専門家はTCMの振る舞いに疑問を投げかけている。

 FGVのカルロス・サンジフェルジ教授は、「TCMは『公営葬儀サービスの民営化計画』を、将来の入札に向けた入札参加意思表明段階(PMI)で停止した。TCMには入札を止める権限が認められているが、PMIは入札ではない」とし、TCMの動向の裏には政治的意思が働いていると見ている。

 ブラジル紙はTCM評議員5人に、例年になく多くの入札を停止させている現状についてコメントを求めたが、返答者はいなかった。

 同評議員5人は元市議や補佐官らで、会計の専門家ではない。現在の評議員は、セルソ・ピッタ元市長が2人、マルタ・スプリシ元市長、ジルベルト・カサビ元市長、フェルナンド・アダジ元市長がそれぞれ1人ずつ指名した。ブラジル紙は「政治的な意図で中止か」と示唆しているが、具体的な根拠や、どのような意図かは示されていない。