ブラジルでは旱魃(かんばつ)のためにサトウキビの収穫量が4千万トンも減少する可能性があると、28日付現地紙が報じた。サンパウロ州内には120日以上も雨が降らない地域があったため、収穫が20%減ると予想される地域まで出ている。
サトウキビの収穫量は4月から翌年3月までに区切って算出される。昨年4月~今年3月の収穫量は5億9600万トンだったが、今年4月~来年3月の収穫量は7%減の5億5600万トンと予想されている。
4千万トンの差は大きい。州別で5番目の収穫量を誇るパラナ州の収穫量(3700万トン)を上回るほどだ。
サトウキビ加工業者連合(Unica)発表のデータによると、今年4月から6月までの収穫には、旱魃はそれほど大きく影響していない。この時期に収穫された分は旱魃の始まる前の夏、昨年12月から今年2月にかけて生育したからだ。
Unica所属のエコノミスト、ルシアノ・ロドリゲス氏は「旱魃のせいで生産性は落ちた。今年の収量は昨年に比べて3~4千万トン減」と見ている。不作の影響を最も強く受けているのはサンパウロ州で、国全体の減産分の8割を占める。同州内でもノロエステ地方での減産が著しかった。
応用経済学研究センターの研究員エヴェリゼ・ブラガト氏は、収穫減は10月以降のエタノール価格に影響する可能性があるとしている。
ただし、雨が降らないと糖度が高くなり、サトウキビの再利用率(ATR・砂糖やエタノールに加工出来る比率)が上がるため、ロドリゲス氏は「今年のサトウキビは、砂糖の原料としてなら昨年より質が高い」としている。